脂漏性皮膚炎の漢方相談|薬剤師が5タイプで体質を見立てる
2000年銀座にて漢方薬局を開業。30〜50代女性の冷え・婦人科・慢性不調のご相談を延べ1万人以上担当。女性のご相談者が9割を占めます。
公開日:2026年9月6日
結論からお伝えすると、脂漏性皮膚炎に漢方を使うときは「フケを止める薬」を探すのではなく、熱と水の停滞・血の熱・乾燥・気の巡り・胃腸の力の5つに分けて考えます。診断と治療は皮膚科で受けてください。そのうえで、体質の側から並行してご相談いただけます。
なお、当薬局のご相談は医師による診断ではなく、東洋医学の考え方にもとづく体質の見立てです。診断・治療は医療機関で行われることを前提にお読みください。
「シャンプーを変えてもフケが止まらない」
「小鼻や眉のあたりが赤くて皮がむける」
「洗いすぎているのに、かえって悪くなる気がする」
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、フケや顔の赤みとして現れるため、「洗い方が悪い」「不潔だ」と自分を責めてしまいやすい不調です。まず何が起きているのかを学会のガイドラインで整理したうえで、東洋医学から見た5つの体質タイプを順に見ていきます。
1. なぜ頭や顔の赤みとフケがくり返すのか?
円形に髪が抜けている/頭皮に膿やじゅくじゅくした部分がある/かゆみで眠れない/顔の赤みが目のまわりまで広がっている/市販のシャンプーや薬を試して悪化した/乳児の症状である。以上は当薬局からのお願いとして挙げているもので、学会が定めた基準ではありません。これらに当てはまる場合は、漢方の相談より先に皮膚科をご受診ください。頭部の白癬・乾癬・アトピー性皮膚炎などとの鑑別が要るとされており、見た目だけでは区別がつきません。まず皮膚科でご確認ください。当薬局は診断をする場ではありません。
まず、いちばん誤解されている点から。脂漏性皮膚炎にはマラセチアという真菌(カビの仲間)が関わるとされていますが、日本皮膚科学会・日本医真菌学会の皮膚真菌症診療ガイドライン2025は「Malassezia 属真菌は脂質要求性の酵母状真菌であり,足底を除くヒトの皮膚の正常真菌叢における主要な構成要素である.常在真菌であり,基本的に病原性を示さないが,過剰に増殖すると皮膚に病変をつくる」としています。マラセチアは誰の皮膚にもいる常在菌で、いること自体は異常ではありません。不潔だから増えるという話でもありません(皮膚真菌症診療ガイドライン2025)。
起きていることについては「脂漏性皮膚炎はMalassezia によって産生された皮脂由来の遊離脂肪酸や炎症性サイトカインが皮膚炎の発症に関与すると考えられている」と説明されています。菌そのものというより、皮脂と菌と炎症の組み合わせで起きているという見方です。だから「洗って落とせば終わり」にはなりません。洗いすぎは皮脂を取り戻そうとする働きを招くことがあるため、当薬局は洗浄力の強すぎる方法をおすすめしていません。
同ガイドラインは別の箇所で「難培養性のM. restricta を含めMalassezia 属真菌は脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎の増悪因子として注目されている」とも述べています。原因そのものというより悪化に関わる因子として位置づけられている、ということです。
受診が先になる理由もはっきりしています。同ガイドラインは頭部の白癬(頭のみずむし)について「しばしば,頭部脂漏性皮膚炎,アトピー性皮膚炎,尋常性乾癬,頭部(慢性)膿皮症などとの鑑別を要するため,本症が少しでも疑われる場合には下記の真菌検査を積極的に実施すべきである」としています。頭のフケ・赤み・かゆみは、見た目だけでは別の病気と区別がつかないということです。自己判断で市販品を試し続ける前に、皮膚科で確かめてください。
東洋医学では、脂漏性皮膚炎という病名を使いません。熱と水が停滞している、血に熱がこもっている、血が足りず乾いている、気の巡りが滞っている、胃腸の力が落ちて水がさばけていない——という体全体の傾向のあらわれとして読みます。同じ「フケ」でも、脂っぽくべたつく方と、乾いて粉のように落ちる方では、体の側の事情が違うと考えるわけです。
2. 東洋医学では脂漏性皮膚炎をどう5つに分けるのか?
東洋医学では脂漏性皮膚炎という病名を使いません。皮脂の多い部位に出る赤みとフケを、体の中の熱と水の停滞のあらわれとして読みます。次の5つを目安にします。※皮膚科での診断と治療を優先してください。
タイプ1:熱と水の停滞型|湿熱(しつねつ)
熱と水の停滞が重なっている傾向。赤みとべたつくフケが主役で、脂っこい食事・お酒・睡眠不足のあとに悪化します。
タイプ2:血の熱型|血熱(けつねつ)
血の中に熱がこもっている傾向。赤みが鮮やかでかゆみが強く、ストレスや睡眠不足で一気に広がります。夜に強まるのが特徴です。
タイプ3:乾燥型|血虚風燥(けっきょふうそう)
血が足りず皮膚が乾いている傾向。フケが細かく乾いて粉のように落ち、つっぱり感が強い。冬に悪化します。
タイプ4:気の巡り停滞型|肝気鬱結(かんきうっけつ)
ストレスで気の巡りが滞っている傾向。忙しい時期に一段悪くなり、落ち着くと引くという波が出ます。かゆみを意識すると強まります。
タイプ5:胃腸の力不足型|脾虚湿盛(ひきょしっせい)
胃腸の力が落ちて水はけが悪くなっている傾向。赤みは強くないのにフケが続き、体の重だるさ・食後の眠気をともないます。
なお、この5つで説明がつかない方もいらっしゃいます。まだ皮膚科で診断を受けていない方は、そちらが先です。頭のフケ・赤み・かゆみは、頭部白癬や乾癬など別の病気でも起こります。5つに当てはめること自体が目的ではありません。
3. 自分はどのタイプ? 20問セルフチェック
全20問です。各タイプ4項目のうち2つ以上当てはまれば、そのタイプの傾向があります。3つ以上当てはまるタイプが、いまの体質の主軸に近いと考えてください。2つ以上当てはまるタイプが複数ある場合は、下の「2タイプ以上に当てはまる方へ」をお読みください。
※この2つ・3つという目安は、ご相談前の整理のために当薬局が置いているもので、診断基準ではありません。
- フケがべたついて黄色っぽい
- 赤みと脂っぽさが強い
- 脂っこい食事やお酒で悪化する
- 口が粘る・便がすっきり出ない
- 赤みが鮮やかでかゆみが強い
- ストレスや睡眠不足で広がる
- 夜にかゆみが強まる
- のぼせる・口が渇く
- フケが細かく乾いて粉のように落ちる
- つっぱり感が強い
- 冬や乾燥期に悪化する
- 髪や肌全体も乾燥しやすい
- 忙しい時期に一段悪くなる
- 落ち着くと引くという波がある
- かゆみを意識すると強まる
- ため息が多い・寝つきが悪い
- 赤みは強くないのにフケが続く
- 体が重だるい・食後に眠くなる
- 軟便になりやすい
- 雨の日や梅雨時に悪化する
複数のタイプの特徴が重なって見えることがあります(当薬局の見立て上の整理で、件数として集計したものではありません)。その場合、市販の一処方では体質の主軸に届かないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる煎じ薬という選択肢もあります。
4. タイプ別に、今日から何ができるか?

いずれも日々の食事と暮らしの範囲でできることです。合わないと感じたら続けないでください。
ガイドラインの説明のとおり、マラセチアは常在菌で、いること自体は異常ではありません。「除菌」や「徹底的に洗う」という方向は、この不調では的を外しています。①ぬるめのお湯で、爪を立てずに指の腹で洗う ②洗浄力の強すぎるものを毎日使わない ③洗ったあとは十分にすすぎ、生乾きにしない ④枕カバーとタオルをこまめに替える——この4点から始めてください。治療用のシャンプーや外用薬を使うかどうかは、皮膚科の判断に従ってください。市販品を次々に試すことは、かえって刺激になることがあります。
タイプ1:熱と水の停滞型
合う食材:はと麦・冬瓜・どくだみ茶・大根
暮らし:揚げ物・乳製品・甘いものを控えめに。洗いすぎない
タイプ2:血の熱型
合う食材:トマト・セロリ・緑豆・菊花茶
暮らし:夜更かしを避ける。辛いものとアルコールを控える
タイプ3:乾燥型
合う食材:黒ごま・白きくらげ・松の実・なつめ
暮らし:熱すぎるお湯で洗わない。保湿を欠かさない
タイプ4:気の巡り停滞型
合う食材:しそ・柑橘類・セロリ・ジャスミン茶
暮らし:夕方の軽い散歩。予定に余白をつくる
タイプ5:胃腸の力不足型
合う食材:山芋・はと麦・かぼちゃ・とうもろこしのひげ茶
暮らし:冷たい飲み物を減らし、よく噛んで食べる
5. 脂漏性皮膚炎の裏に何が隠れているのか?
頭皮と顔の悩みは、乾燥型か脂っぽい型かで打ち手が変わります。当てはまるものが決まっている方は、その症状別の記事のほうが具体策に届きます。
- 乾いて粉のようなフケが落ちる(乾燥型の方へ) → 「冬の頭皮の乾燥・フケで悩む方へ」
- 胃腸の調子と一緒に荒れる(胃腸の力不足型の方へ) → 「下痢×肌荒れ5タイプと漢方」
- 入浴後にかゆみが強まる(血の熱型の方へ) → 「入浴後の肌のかゆみで悩む方へ」
- 汗や蒸れでかゆくなる(熱と水の停滞型の方へ) → 「重ね着で肌がかゆくなる方へ」
- 顔の赤みとほてりのほうが主役(酒さの5タイプで整理) → 「酒さの漢方相談」
また、頭皮と顔の状態は睡眠・胃腸・脂っこい食事・季節と地続きです。洗い方だけを変えても戻ってしまうと感じている方は、初回のご相談で睡眠・便通・食事の内容もあわせて伺います。
6. 市販の漢方が合わないのはなぜ?
市販の漢方薬は、特定のタイプに合わせて設計されています。複数のタイプにまたがる不調では、ひとつの処方が体質の主軸と噛み合わないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる形をとる方もいらっしゃいます。
ただし、これは市販薬を否定するものではありません。合っている方はそのまま続けていただいて構いません。
皮膚科でステロイド外用薬や抗真菌薬の外用を処方されている方も、それらを続けたままご相談いただけます。当薬局はそれらの治療を減らす・やめる判断をする場ではありません。ステロイド外用の中止・変更は必ず皮膚科の指示に従ってください。処方内容はお薬手帳で確認し、飲み合わせに注意が要る組み合わせがあればその場でお伝えします。
7. 相談すると何をして、いくらかかるのか?
ご相談の流れ:①LINE・お電話・Web予約でご予約 →②ご来店。体調・お悩み・これまでの経過・暮らしを伺い、脈と舌を拝見 →③体質の主軸を整理し、合う処方をご提案 →④煎じ薬をお渡し →⑤経過を確認し、必要なら処方を調整。脈と舌を実際に拝見するため、ご相談は来店を基本としています。
無料相談は30分です。まずはここでお身体の状態と、漢方が選択肢になるかを整理します。継続される場合の費用の目安は毎月15,000〜25,000円程度です。煎じ薬は1日分パックで、朝5〜10分で準備できます。短期間のおためしコースもご用意していますので、金額と内容は無料相談の際にご案内します。
※ 2026年9月6日 時点のご案内です。金額は変わることがあります。
※LINE登録でお渡しする5,000円OFFクーポンは通常の1か月コースが対象です。おためし2週間コースなど、他の割引との併用はできません。
医療機関で治療を受けている方は、その治療を続けながらご相談ください。当薬局は診断を行う場ではありません。お薬手帳をお持ちいただけると、併用の確認がスムーズです。
脂漏性皮膚炎のお悩みを、体質から見立てます
無料相談(30分)で、これまでの経過・お薬・暮らしを伺い、脈と舌からお身体の状態を整理します。薬剤師歴45年以上の柳澤が担当します。
▶ LINE登録で5,000円OFFクーポン進呈(通常の1か月コースが対象・他の割引との併用不可)
📞 03-3547-5102(13:00〜19:00/土日祝休)
🗓️ Web予約 📍 地図・アクセス(〒104-0061 東京都中央区銀座3-14-4/東銀座駅 徒歩3分)
※ 医療機関での診断・治療を受けている方は、そちらを優先してください。当薬局のご相談は診断ではなく、東洋医学の考え方による体質の見立てです。自己判断で治療を中断しないでください。
※お身体の変化には個人差があります。妊娠中・授乳中・服薬中の方は事前にお知らせください。
8. よくある質問(FAQ)
Q. 皮膚科に通っていますが、漢方相談も受けられますか?
はい。通院しながらご相談に来られる方もいらっしゃいます。当薬局のご相談は診断ではなく、東洋医学の考え方による体質の見立てです。処方されているお薬がある場合はお薬手帳をお持ちください。ステロイド外用の中止・変更は必ず皮膚科の指示に従ってください。
Q. どんなときに医療機関を受診したほうがよいですか?
円形に髪が抜けている・頭皮に膿やじゅくじゅくした部分がある・かゆみで眠れない・顔の赤みが目のまわりまで広がっている・市販のシャンプーや薬を試して悪化した、というときは漢方相談より先に皮膚科をご受診ください。乳児の症状についても、まず小児科か皮膚科でご相談ください。
Q. カビが原因と聞きました。不潔だからでしょうか?
いいえ。皮膚真菌症診療ガイドライン2025は、マラセチアについて「常在真菌であり,基本的に病原性を示さないが,過剰に増殖すると皮膚に病変をつくる」としています。誰の皮膚にもいる菌で、いること自体は異常ではありません。また同ガイドラインは、脂漏性皮膚炎について「Malassezia によって産生された皮脂由来の遊離脂肪酸や炎症性サイトカインが皮膚炎の発症に関与すると考えられている」としており、菌そのものというより皮脂と菌と炎症の組み合わせで起きているという見方です。清潔さの問題として自分を責めないでください。
Q. しっかり洗ったほうがよいですか?
洗いすぎはおすすめしていません。ぬるめのお湯で指の腹で洗う、洗浄力の強すぎるものを毎日使わない、十分にすすいで生乾きにしない——この3点から始めてください。治療用のシャンプーや外用薬を使うかどうかは、皮膚科の判断に従ってください。市販品を次々に試すことは、かえって刺激になることがあります。
Q. 頭のフケとかゆみですが、脂漏性皮膚炎で間違いないでしょうか?
見た目だけでは決められません。同ガイドラインは頭部の白癬について「しばしば,頭部脂漏性皮膚炎,アトピー性皮膚炎,尋常性乾癬,頭部(慢性)膿皮症などとの鑑別を要する」としています。紛らわしい病気がいくつもあり、検査で確かめる必要があるということです。まず皮膚科でご確認ください。
Q. 市販の漢方を試しましたが、しっくりきません。なぜでしょうか?
市販の漢方薬は、特定のタイプに合わせて作られています。脂漏性皮膚炎では複数のタイプの特徴が重なって見えることがあり、そうした場合はひとつの処方が体質の主軸と合わないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる形をとる方もいらっしゃいます。
Q. 西洋薬を服用中ですが、漢方は併用できますか?
お薬手帳を拝見して確認します。甘草(カンゾウ)を含む漢方では、まれに偽アルドステロン症(低カリウム血症・血圧上昇・むくみ)が起こることがあります。厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」は、高血圧症や心不全に対してチアジド系降圧利尿薬やループ利尿薬が投与されている場合、糖尿病に対してインスリンが投与されている場合に「低カリウム血症を生じやすく、重篤化しやすいので、注意が必要である」としています。同マニュアルはこのほか、副腎皮質ステロイド・甲状腺ホルモン薬・経口避妊薬・アスピリン・イブプロフェンなども低カリウム血症を惹起しうるとして、併用時の注意を挙げています。初期症状としては「手足のしびれ、つっぱり感、こわばり」「徐々に進行する四肢の脱力や筋肉痛」が挙げられています。服用中のお薬は必ずお知らせください。
Q. 予約方法とキャンセルについて教えてください。
LINE・お電話・Web予約から承ります。ご予約の変更やキャンセルが必要になった場合は、分かった時点でLINEまたはお電話でご連絡ください。
Q. 女性の悩みを男性薬剤師に話しづらいのですが。
ご相談者の9割が女性です。ご予約時に「女性スタッフを希望」とお伝えいただければ調整いたします。
本記事は東洋医学・漢方に関する一般的な解説であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。漢方の体感には個人差があります。妊娠中・授乳中の方、医療機関で治療中の方、慢性疾患をお持ちの方は、必ず事前に薬剤師にご相談ください。甘草(カンゾウ)を含む漢方では、まれに偽アルドステロン症(低カリウム血症・血圧上昇・むくみ)が起こることがあります。厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」は、チアジド系降圧利尿薬・ループ利尿薬やインスリンが使われている場合に低カリウム血症を生じやすいとし、副腎皮質ステロイド・甲状腺ホルモン薬・経口避妊薬・アスピリン・イブプロフェンなども低カリウム血症を惹起しうるとしています。服用中のお薬は事前にお知らせください。気になる症状がある場合は、医療機関の受診を優先してください。