不眠症の漢方相談|銀座の薬剤師が5タイプで体質を見立てる
2000年銀座にて漢方薬局を開業。30〜50代女性の冷え・婦人科・慢性不調のご相談を延べ1万人以上担当。女性のご相談者が9割を占めます。
公開日:2026年9月4日
結論からお伝えすると、不眠症に漢方を使うときは「眠くなる薬」を探すのではなく、眠れない背景をこもった熱・気血の不足・潤い不足・気の巡り・水はけの5つに分けて考えます。不眠症は夜の不眠と、日中の不調の両方がそろったときに診断されるもので、この点が「今夜眠れなかった」とは違います。診断と治療は医療機関で受けたうえで、体質の側から並行してご相談いただけます。
なお、当薬局のご相談は医師による診断ではなく、東洋医学の考え方にもとづく体質の見立てです。診断・治療は医療機関で行われることを前提にお読みください。
「布団に入ってから何時間も眠れない」
「夜中に何度も目が覚めて、そのあと眠れない」
「眠った気がしないまま朝を迎えて、日中がつらい」
不眠症(ふみんしょう)は、つらさが夜のあいだに起きるため、日中の姿からは分かってもらいにくい不調です。まず不眠症がどう定義されているかを整理したうえで、東洋医学から見た5つの体質タイプを順に見ていきます。
1. なぜ「眠れない」だけでは不眠症と呼ばないのか?
大きないびきや睡眠中の呼吸の止まりを指摘された/日中に耐えがたい眠気があり運転や作業に支障が出ている/気分の落ち込みが2週間以上続く/脚のむずむず感で眠れない/睡眠薬を増やしても眠れない。以上は当薬局からのお願いとして挙げているもので、学会が定めた基準ではありません。これらに当てはまる場合は、漢方の相談より先に内科・睡眠外来をご受診ください。睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群など、別の病気が背景にあることがあります。当薬局は診断をする場ではありません。
不眠症には定義があります。厚生労働省の e-ヘルスネットは「1. 夜間の不眠が続き 2. 日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する、この二つが認められたとき不眠症と診断されます」としています。夜だけ、あるいは日中だけでは足りません。逆にいえば、眠りが短くても日中に困っていなければ、それは不眠症とは呼ばれません(厚生労働省 e-ヘルスネット「不眠症」)。
頻度についてもはっきりした数字が出ています。「一般成人の30〜40%が何らかの不眠症状を有しており」、そのうえで「慢性不眠症は成人の約10%に見られ」とされています。よく引かれる「5人に1人が不眠症」という言い方は、この2つのどちらとも一致しません。何らかの不眠症状があることと、慢性不眠症であることは別の話です。
年齢による違いも書かれています。「60歳以上では半数以上の方で認められます」。加齢とともに眠りが浅くなること自体は、病気とは限りません。
薬についても数字があります。「日本では成人の5%が不眠のため睡眠薬を服用しています」。睡眠薬を使っていることは、めずらしいことではありません。当薬局にご相談に来られる際も、睡眠薬をやめてから来ていただく必要はありません。
東洋医学では、不眠症という病名を使いません。眠れない背景を、心に熱がこもっている、気血が足りず心を養えていない、潤いが足りず上下の交流が絶えている、気の巡りが滞っている、水と熱が停滞して心を乱している——という体全体の傾向のあらわれとして読みます。同じ「眠れない」でも、寝つけない方と、夜中に目が覚める方と、早く目が覚める方では、体の側の事情が違うと考えるわけです。
2. 東洋医学では不眠症をどう5つに分けるのか?
東洋医学では眠りを「陽が内に収まる過程」として読みます。寝つけないのか、途中で目が覚めるのか、早く目が覚めるのかで見立てが変わります。次の5つを目安にします。※睡眠時無呼吸などが疑われる場合は医療機関の受診を優先してください。
タイプ1:熱こもり型|心火亢盛(しんかこうせい)
こもった熱が上にあがって心が静まらない傾向。頭が冴えて寝つけず、口内炎・のぼせ・いらだちをともないます。夜のお酒やカフェインで強まります。
承認基準で「不眠症」に挙げられている処方例:黄連解毒湯
厚生労働省の一般用漢方製剤承認基準で、効能・効果に「不眠症」が挙げられている処方です。どなたにも同じ処方が合うわけではありません。
タイプ2:気血不足型|心脾両虚(しんぴりょうきょ)
考えすぎと胃腸の弱りで、心を養う気と血が足りていない傾向。寝つけても浅く、夢が多い。日中の疲労と物忘れが重なります。
承認基準で「不眠症」に挙げられている処方例:加味帰脾湯/帰脾湯
厚生労働省の一般用漢方製剤承認基準で、効能・効果に「不眠症」が挙げられている処方です。どなたにも同じ処方が合うわけではありません。
タイプ3:潤い不足型|心腎不交(しんじんふこう)
体を潤す力が不足し、上の熱と下の冷えが行き来しなくなっている傾向。夜中や明け方に目が覚め、寝汗・手足のほてりをともないます。
承認基準で「不眠症」に挙げられている処方例:酸棗仁湯
厚生労働省の一般用漢方製剤承認基準で、効能・効果に「不眠症」が挙げられている処方です。どなたにも同じ処方が合うわけではありません。
タイプ4:気の巡り停滞型|肝気鬱結(かんきうっけつ)
ストレスで気の巡りが滞っている傾向。考えごとが止まらず寝つけない。翌日に予定があると悪化し、休日は眠れるという波が出ます。
承認基準で「不眠症」に挙げられている処方例:抑肝散
厚生労働省の一般用漢方製剤承認基準で、効能・効果に「不眠症」が挙げられている処方です。どなたにも同じ処方が合うわけではありません。
タイプ5:水はけ低下型|痰熱擾心(たんねつじょうしん)
水の停滞と熱が重なって心を乱している傾向。胸のつかえ・痰がらみ・悪夢をともない、夕食が遅い・重い日に悪化します。
なお、この5つで説明がつかない方もいらっしゃいます。いびきや呼吸の止まりを指摘されている場合、脚のむずむず感が眠りを妨げている場合は、東洋医学の枠組みより先に医療機関での確認が要ります。5つに当てはめること自体が目的ではありません。
3. 自分はどのタイプ? 20問セルフチェック
全20問です。各タイプ4項目のうち2つ以上当てはまれば、そのタイプの傾向があります。3つ以上当てはまるタイプが、いまの体質の主軸に近いと考えてください。2つ以上当てはまるタイプが複数ある場合は、下の「2タイプ以上に当てはまる方へ」をお読みください。
※この2つ・3つという目安は、ご相談前の整理のために当薬局が置いているもので、診断基準ではありません。
- 頭が冴えて寝つけない
- のぼせる・口内炎ができやすい
- いらだちが強い
- 口が渇く・夢が多い
- 眠りが浅く夢が多い
- 疲れやすい・物忘れが増えた
- 食が細い・軟便になりやすい
- 顔色が白い・動悸がする
- 夜中や明け方に目が覚める
- 寝汗をかく・手足がほてる
- 耳鳴りがする
- 口が渇く・腰が重だるい
- 考えごとが止まらず寝つけない
- 翌日に予定があると悪化する
- ため息が多い・胸がつかえる
- 月経前に悪化する
- 胸がつかえる・痰がからむ
- 悪夢を見る
- 夕食が遅い・重い日に悪化する
- 体が重だるい・口が粘る
複数のタイプの特徴が重なって見えることがあります(当薬局の見立て上の整理で、件数として集計したものではありません)。その場合、市販の一処方では体質の主軸に届かないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる煎じ薬という選択肢もあります。
4. タイプ別に、今日から何ができるか?

いずれも日々の食事と暮らしの範囲でできることです。合わないと感じたら続けないでください。
不眠症の定義は、夜の不眠と日中の不調の両方がそろうことでした。ですから記録するのも両方です。2週間だけ、①布団に入った時刻と起きた時刻 ②夜中に目が覚めた回数 ③日中のつらさ(10点満点)の3つをメモしてください。眠れた時間の長さだけを追いかけると、数字に振り回されてかえって眠れなくなります。判断材料は日中のほうにあります。
タイプ1:熱こもり型
合う食材:セロリ・トマト・緑豆・菊花茶
暮らし:夕方以降のカフェインとアルコールを断つ。就寝1時間前に照明を落とす
タイプ2:気血不足型
合う食材:なつめ・山芋・鶏肉・竜眼肉
暮らし:朝食を抜かない。就寝前に考えごとを紙に出す
タイプ3:潤い不足型
合う食材:黒豆・白きくらげ・百合根・山芋
暮らし:夜更かしを避ける。長風呂とサウナを控えめに
タイプ4:気の巡り停滞型
合う食材:しそ・柑橘類・セロリ・ジャスミン茶
暮らし:夕方の軽い散歩。寝室にスマホを持ち込まない
タイプ5:水はけ低下型
合う食材:大根・はと麦・陳皮・生姜
暮らし:夕食を就寝3時間前までに軽く済ませる
5. 不眠症の裏に何が隠れているのか?
眠れない理由は季節や重なっている不調で変わります。当てはまるものが決まっている方は、その症状別の記事のほうが具体策に届きます。
- いらだちが強く寝つけない(熱こもり型・気の巡り停滞型の方へ) → 「春の不眠・イライラと漢方」
- 冷えで寝つけない(気血不足型の方へ) → 「靴下を履いても足が冷えて眠れない方へ」
- のぼせ・寝汗をともなう(潤い不足型の方へ) → 「更年期の秋の不眠で悩む方へ」
- 体のこわばりが眠りを妨げる(気の巡り停滞型の方へ) → 「肩こりで眠れない方へ」
- 自分がどのタイプか分からないとき(5タイプのセルフチェック) → 「秋の睡眠タイプ診断」
また、眠りは胃腸・冷え・月経周期・気分と地続きです。夜のことだけを何とかしようとしても戻ってしまうと感じている方は、初回のご相談で食事・便通・月経・日中の過ごし方もあわせて伺います。
6. 市販の漢方が合わないのはなぜ?
市販の漢方薬は、特定のタイプに合わせて設計されています。複数のタイプにまたがる不調では、ひとつの処方が体質の主軸と噛み合わないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる形をとる方もいらっしゃいます。
ただし、これは市販薬を否定するものではありません。合っている方はそのまま続けていただいて構いません。
医療機関で睡眠薬や抗不安薬を処方されている方も、それらを続けたままご相談いただけます。当薬局はそれらの薬を減らす・やめる判断をする場ではありません。睡眠薬は自己判断で急にやめると、かえって眠れなくなることがあります。減量や中止は必ず処方元でご相談ください。お薬手帳をお持ちいただければ、飲み合わせで注意が要る組み合わせをその場でお伝えします。
7. 相談すると何をして、いくらかかるのか?
ご相談の流れ:①LINE・お電話・Web予約でご予約 →②ご来店。体調・お悩み・これまでの経過・暮らしを伺い、脈と舌を拝見 →③体質の主軸を整理し、合う処方をご提案 →④煎じ薬をお渡し →⑤経過を確認し、必要なら処方を調整。脈と舌を実際に拝見するため、ご相談は来店を基本としています。
無料相談は30分です。まずはここでお身体の状態と、漢方が選択肢になるかを整理します。継続される場合の費用の目安は毎月15,000〜25,000円程度です。煎じ薬は1日分パックで、朝5〜10分で準備できます。短期間のおためしコースもご用意していますので、金額と内容は無料相談の際にご案内します。
※ 2026年9月4日 時点のご案内です。金額は変わることがあります。
※LINE登録でお渡しする5,000円OFFクーポンは通常の1か月コースが対象です。おためし2週間コースなど、他の割引との併用はできません。
医療機関で治療を受けている方は、その治療を続けながらご相談ください。当薬局は診断を行う場ではありません。お薬手帳をお持ちいただけると、併用の確認がスムーズです。
不眠症のお悩みを、体質から見立てます
無料相談(30分)で、これまでの経過・お薬・暮らしを伺い、脈と舌からお身体の状態を整理します。薬剤師歴45年以上の柳澤が担当します。
▶ LINE登録で5,000円OFFクーポン進呈(通常の1か月コースが対象・他の割引との併用不可)
📞 03-3547-5102(13:00〜19:00/土日祝休)
🗓️ Web予約 📍 地図・アクセス(〒104-0061 東京都中央区銀座3-14-4/東銀座駅 徒歩3分)
※ 医療機関での診断・治療を受けている方は、そちらを優先してください。当薬局のご相談は診断ではなく、東洋医学の考え方による体質の見立てです。自己判断で治療を中断しないでください。
※お身体の変化には個人差があります。妊娠中・授乳中・服薬中の方は事前にお知らせください。
8. よくある質問(FAQ)
Q. 内科や睡眠外来に通っていますが、漢方相談も受けられますか?
はい。通院しながらご相談に来られる方もいらっしゃいます。当薬局のご相談は診断ではなく、東洋医学の考え方による体質の見立てです。処方されているお薬がある場合は、お薬手帳をお持ちください。医療機関での治療は自己判断で中断せず、続けながらご相談ください。
Q. どんなときに医療機関を受診したほうがよいですか?
大きないびきや睡眠中の呼吸の止まりを指摘された・日中に耐えがたい眠気があり運転や作業に支障が出ている・脚のむずむず感で眠れない・睡眠薬を増やしても眠れない、というときは漢方相談より先に受診してください。気分の落ち込みが2週間以上続く場合も、心療内科や精神科にご相談ください。
Q. 「5人に1人が不眠症」と聞いたことがありますが、本当ですか?
その言い方は正確ではありません。厚生労働省の e-ヘルスネットは「一般成人の30〜40%が何らかの不眠症状を有しており」「慢性不眠症は成人の約10%に見られ」としています。何らかの不眠症状があることと、慢性不眠症であることは別です。ご自身がどちらに近いかは、夜の状態と日中の不調の両方で判断されます。
Q. 睡眠薬を飲んでいますが、やめてから相談したほうがよいですか?
やめないでください。e-ヘルスネットによれば「日本では成人の5%が不眠のため睡眠薬を服用しています」。服用中のままご相談いただけます。睡眠薬は自己判断で急にやめると、かえって眠れなくなることがあります。当薬局は処方薬を減らす・中止する判断をする場ではありません。お薬手帳をお持ちいただければ、飲み合わせの確認をその場で行います。
Q. 眠れた時間が短いのですが、それだけで不眠症ですか?
いいえ。定義は「1. 夜間の不眠が続き 2. 日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する」の二つがそろうことです。短くても日中に困っていなければ、不眠症とは呼ばれません。また同じ資料には「60歳以上では半数以上の方で認められます」ともあり、年齢とともに眠りが浅くなること自体は病気とは限りません。判断は医療機関が行います。
Q. 市販の漢方を試しましたが、しっくりきません。なぜでしょうか?
市販の漢方薬は、特定のタイプに合わせて作られています。不眠症では複数のタイプの特徴が重なって見えることがあり、そうした場合はひとつの処方が体質の主軸と合わないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる形をとる方もいらっしゃいます。
Q. 西洋薬を服用中ですが、漢方は併用できますか?
お薬手帳を拝見して確認します。甘草(カンゾウ)を含む漢方では、まれに偽アルドステロン症(低カリウム血症・血圧上昇・むくみ)が起こることがあります。厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」は、高血圧症や心不全に対してチアジド系降圧利尿薬やループ利尿薬が投与されている場合、糖尿病に対してインスリンが投与されている場合に「低カリウム血症を生じやすく、重篤化しやすいので、注意が必要である」としています。同マニュアルはこのほか、副腎皮質ステロイド・甲状腺ホルモン薬・経口避妊薬・アスピリン・イブプロフェンなども低カリウム血症を惹起しうるとして、併用時の注意を挙げています。初期症状としては「手足のしびれ、つっぱり感、こわばり」「徐々に進行する四肢の脱力や筋肉痛」が挙げられています。服用中のお薬は必ずお知らせください。
Q. 予約方法とキャンセルについて教えてください。
LINE・お電話・Web予約から承ります。ご予約の変更やキャンセルが必要になった場合は、分かった時点でLINEまたはお電話でご連絡ください。
Q. 女性の悩みを男性薬剤師に話しづらいのですが。
ご相談者の9割が女性です。ご予約時に「女性スタッフを希望」とお伝えいただければ調整いたします。
本記事は東洋医学・漢方に関する一般的な解説であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。漢方の体感には個人差があります。妊娠中・授乳中の方、医療機関で治療中の方、慢性疾患をお持ちの方は、必ず事前に薬剤師にご相談ください。甘草(カンゾウ)を含む漢方では、まれに偽アルドステロン症(低カリウム血症・血圧上昇・むくみ)が起こることがあります。厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」は、チアジド系降圧利尿薬・ループ利尿薬やインスリンが使われている場合に低カリウム血症を生じやすいとし、副腎皮質ステロイド・甲状腺ホルモン薬・経口避妊薬・アスピリン・イブプロフェンなども低カリウム血症を惹起しうるとしています。服用中のお薬は事前にお知らせください。気になる症状がある場合は、医療機関の受診を優先してください。