多汗症の漢方相談|銀座の薬剤師が5タイプで体質を見立てる
2000年銀座にて漢方薬局を開業。30〜50代女性の冷え・婦人科・慢性不調のご相談を延べ1万人以上担当。女性のご相談者が9割を占めます。
公開日:2026年8月29日
結論からお伝えすると、多汗症に漢方を使うときは「汗を止める薬」を探すのではなく、どこに・いつ・どんな汗が出るかを5つに分けて考えます。診断と治療は皮膚科で受けたうえで、体質の側から並行してご相談いただけます。
なお、当薬局のご相談は医師による診断ではなく、東洋医学の考え方にもとづく体質の見立てです。診断・治療は医療機関で行われることを前提にお読みください。
「手のひらの汗で書類や機器が濡れてしまう」
「わきの汗じみが気になって服の色を選べない」
「暑くもないのに顔から汗が噴き出す」
多汗症(たかんしょう)は、人に言い出しにくく、受診にもつながりにくい不調です。まず学会の診断基準がどこまでを多汗症と呼んでいるかを整理したうえで、東洋医学から見た5つの体質タイプを順に見ていきます。
1. なぜ汗が多いのか?──そして「多汗症」と呼ばれる範囲
寝ているあいだの汗(寝汗)が主役である/体重が減ってきている/発熱が続く/動悸や手の震えをともなう/汗が体の片側だけに偏る/新しく飲み始めた薬のあとに始まった。以上は当薬局からのお願いとして挙げているもので、学会が定めた基準ではありません。これらに当てはまる場合は、漢方の相談より先に皮膚科をご受診ください。原発性局所多汗症の診断基準には「睡眠中は発汗が止まっていること」が含まれています。寝汗が主役の場合は、甲状腺の病気や感染症など別の原因が背景にあることがあるため、まず医療機関でご確認ください。
多汗症には、思っているより広い層があります。日本皮膚科学会の原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版によれば、本邦60,969人を対象とした2020年のweb調査で「原発性局所多汗症の有病率10.0%(腋窩5.9%,頭部・顔面3.6%,手掌2.9%,足底2.3%)」とされています(日本皮膚科学会 原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版)。
ところが受診にはつながっていません。同じ調査で「医療機関への受診経験率は4.6%」、受診を継続している人は0.7%でした。10人に1人が抱えているのに、受診したことがある人は20人に1人。この落差が、この病気の実際の姿です。汗の相談は「そんなことで病院に行くのか」と自分で止めてしまいやすい領域だ、ということでもあります。
呼び方の範囲もはっきりしています。同ガイドラインが引く診断基準では、「局所的に過剰な発汗が明らかな原因がないまま6 カ月以上認められ」ることが前提で、さらに6項目のうちの一つとして「睡眠中は発汗が止まっていること」が挙げられています。つまり、寝ているあいだの汗(寝汗)が主役の方は、原発性局所多汗症の枠から外れる方向の所見です。別の原因が背景にあることがあるため、そこは受診で確かめてください。
東洋医学では、多汗症という病名を使いません。汗を体の熱と水のバランスのあらわれとして読み、汗を締める力が落ちている、熱がこもっている、潤いが足りず熱を冷ませていない、といった体全体の傾向として整理します。同じ「汗が多い」でも、動いていないのに出る方と、辛いものを食べたあとに出る方では、体の側の事情が違うと考えるわけです。
ひとつ注意があります。下に挙げる5タイプのうちタイプ3(潤い不足型・陰虚盗汗)は寝汗が主役で、これは上に書いたとおり原発性局所多汗症の診断基準からは外れる方向の所見です。他の4タイプと同列の「多汗症の一種」ではなく、まず医療機関で背景を確かめていただきたいグループとして読んでください。
2. 東洋医学では多汗症をどう5つに分けるのか?
東洋医学では汗を「体の熱と水のバランスのあらわれ」として読みます。どこに、いつ、どんな汗が出るかで整理します。次の5つを目安にします。
タイプ1:気が締まらない型|気虚自汗(ききょじかん)
体を守り汗を締める力が落ちている傾向。動いていないのに汗が出て、出たあとにぐったりします。風邪をひきやすいという傾向とあわせて考えます。
タイプ2:熱こもり型|胃熱・実熱(いねつ・じつねつ)
体の中に熱がこもっている傾向。顔や頭からの汗が多く、口の渇き・便秘をともないます。辛いもの・お酒・脂っこい食事のあとに強まります。
タイプ3:潤い不足型|陰虚盗汗(いんきょとうかん)
体を潤す力が不足し、こもった熱を冷ませていない傾向。寝ている間の汗(寝汗)が主役で、のぼせ・手足のほてりをともないます。
タイプ4:気の巡り停滞型|肝気鬱結(かんきうっけつ)
緊張で気の巡りが滞っている傾向。手のひら・脇・顔など場所が限られ、人前や試験など場面に強く左右されます。汗を気にすることでさらに増えます。
タイプ5:水はけ低下型|脾虚湿盛(ひきょしっせい)
胃腸の水はけが落ちている傾向。べたつく汗が体幹に多く、体の重だるさ・むくみをともないます。湿度の高い時期に強まります。
承認基準で「多汗症」に挙げられている処方例:防已黄耆湯
厚生労働省の一般用漢方製剤承認基準で、効能・効果に「多汗症」が挙げられている処方です。どなたにも同じ処方が合うわけではありません。
なお、この5つで説明がつかない方もいらっしゃいます。くり返しになりますが、寝汗が主役のタイプ3は、原発性局所多汗症の診断基準からは外れる方向の所見です。まず医療機関で背景を確かめてください。5つに当てはめること自体が目的ではありません。
3. 自分はどのタイプ? 20問セルフチェック
全20問です。各タイプ4項目のうち2つ以上当てはまれば、そのタイプの傾向があります。3つ以上当てはまるタイプが、いまの体質の主軸に近いと考えてください。2つ以上当てはまるタイプが複数ある場合は、下の「2タイプ以上に当てはまる方へ」をお読みください。
※この2つ・3つという目安は、ご相談前の整理のために当薬局が置いているもので、診断基準ではありません。
- 動いていないのに汗が出る
- 汗をかいたあと疲れる・冷える
- 風邪をひきやすい
- 声に力が出ない
- 顔や頭から汗が噴き出す
- 口が渇く・冷たい飲み物を好む
- 便秘がち・口臭が気になる
- 食後に汗が増える
- 寝ている間に汗をかく
- 手のひら・足の裏がほてる
- のぼせるのに足は冷える
- 口が渇く・眠りが浅い
- 手のひら・脇など場所が決まっている
- 人前や緊張場面で急に出る
- 汗を意識すると増える
- ため息が多い・寝つきが悪い
- 汗がべたつく・においが気になる
- 体が重だるい・むくみやすい
- 湿度の高い日に悪化する
- 胃がもたれやすい
複数のタイプの特徴が重なって見えることがあります(当薬局の見立て上の整理で、件数として集計したものではありません)。その場合、市販の一処方では体質の主軸に届かないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる煎じ薬という選択肢もあります。
4. タイプ別に、今日から何ができるか?

いずれも日々の食事と暮らしの範囲でできることです。合わないと感じたら続けないでください。
汗は「量」より「いつ・どこに・どんな状況で」が手がかりになります。2週間だけ、①汗が出た時刻 ②部位(手のひら・わき・顔・全身) ③直前の状況(緊張・食事・気温・運動の有無)を記録してください。受診の際にも役立ちます。あわせて、汗をかいたらすぐ拭いて着替える、通気性のよい衣類を選ぶ、といった肌トラブルを防ぐ工夫も心がけてください。
タイプ1:気が締まらない型
合う食材:山芋・なつめ・うるち米・鶏肉
暮らし:汗をかいたらすぐ拭いて着替える。冷房の直風を避ける
タイプ2:熱こもり型
合う食材:大根・トマト・きゅうり・緑茶
暮らし:辛いもの・揚げ物・アルコールを控えめに
タイプ3:潤い不足型
合う食材:白きくらげ・黒豆・山芋・梨
暮らし:夜更かしを避ける。長風呂とサウナを控えめに
タイプ4:気の巡り停滞型
合う食材:しそ・柑橘類・ミント・ジャスミン茶
暮らし:深呼吸を習慣に。汗を測り続けない時間をつくる
タイプ5:水はけ低下型
合う食材:はと麦・とうもろこしのひげ茶・小豆・大根
暮らし:冷たい飲み物を減らす。通気性のよい衣類を選ぶ
5. 多汗症の裏に何が隠れているのか?
汗の悩みは、季節や重なっている不調で出方が変わります。当てはまるものが決まっている方は、その症状別の記事のほうが具体策に届きます。
- 暑い時期に全身の汗が増える(熱こもり型の方へ) → 「夏の異常発汗で悩む方へ」
- 更年期と重なっている(潤い不足型の方へ) → 「更年期の秋の発汗で悩む方へ」
- においが気になる(熱と水の停滞型の方へ) → 「汗のにおいで悩む方へ」
- 手のひらに水ぶくれが出る(水はけ低下型の方へ) → 「汗疱(手の水ぶくれ)で悩む方へ」
- 汗で肌が荒れる(熱と水の停滞型の方へ) → 「残暑の汗かぶれ・あせもで悩む方へ」
また、汗は緊張・更年期・胃腸の状態と地続きです。汗だけを止めようとしても戻ってしまうと感じている方は、初回のご相談で睡眠・月経・緊張する場面もあわせて伺います。
6. 市販の漢方が合わないのはなぜ?
市販の漢方薬は、特定のタイプに合わせて設計されています。複数のタイプにまたがる不調では、ひとつの処方が体質の主軸と噛み合わないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる形をとる方もいらっしゃいます。
ただし、これは市販薬を否定するものではありません。合っている方はそのまま続けていただいて構いません。
皮膚科で外用薬や内服薬、ボツリヌス療法などを受けている方も、それらを続けたままご相談いただけます。当薬局はそれらの治療を減らす・やめる判断をする場ではありません。処方内容はお薬手帳で確認し、飲み合わせに注意が要る組み合わせがあればその場でお伝えします。
7. 相談すると何をして、いくらかかるのか?
ご相談の流れ:①LINE・お電話・Web予約でご予約 →②ご来店。体調・お悩み・これまでの経過・暮らしを伺い、脈と舌を拝見 →③体質の主軸を整理し、合う処方をご提案 →④煎じ薬をお渡し →⑤経過を確認し、必要なら処方を調整。脈と舌を実際に拝見するため、ご相談は来店を基本としています。
無料相談は30分です。まずはここでお身体の状態と、漢方が選択肢になるかを整理します。継続される場合の費用の目安は毎月15,000〜25,000円程度です。煎じ薬は1日分パックで、朝5〜10分で準備できます。短期間のおためしコースもご用意していますので、金額と内容は無料相談の際にご案内します。
※ 2026年8月29日 時点のご案内です。金額は変わることがあります。
※LINE登録でお渡しする5,000円OFFクーポンは通常の1か月コースが対象です。おためし2週間コースなど、他の割引との併用はできません。
医療機関で治療を受けている方は、その治療を続けながらご相談ください。当薬局は診断を行う場ではありません。お薬手帳をお持ちいただけると、併用の確認がスムーズです。
多汗症のお悩みを、体質から見立てます
無料相談(30分)で、これまでの経過・お薬・暮らしを伺い、脈と舌からお身体の状態を整理します。薬剤師歴45年以上の柳澤が担当します。
▶ LINE登録で5,000円OFFクーポン進呈(通常の1か月コースが対象・他の割引との併用不可)
📞 03-3547-5102(13:00〜19:00/土日祝休)
🗓️ Web予約 📍 地図・アクセス(〒104-0061 東京都中央区銀座3-14-4/東銀座駅 徒歩3分)
※ 医療機関での診断・治療を受けている方は、そちらを優先してください。当薬局のご相談は診断ではなく、東洋医学の考え方による体質の見立てです。自己判断で治療を中断しないでください。
※お身体の変化には個人差があります。妊娠中・授乳中・服薬中の方は事前にお知らせください。
8. よくある質問(FAQ)
Q. 皮膚科に通っていますが、漢方相談も受けられますか?
はい。通院しながらご相談に来られる方もいらっしゃいます。当薬局のご相談は診断ではなく、東洋医学の考え方による体質の見立てです。処方されているお薬がある場合は、お薬手帳をお持ちください。医療機関での治療は自己判断で中断せず、続けながらご相談ください。
Q. どんなときに医療機関を受診したほうがよいですか?
寝ているあいだの汗が主役である・体重が減ってきている・発熱が続く・動悸や手の震えをともなう・汗が体の片側だけに偏る・新しく飲み始めた薬のあとに始まった、というときは漢方相談より先に受診してください。とくに寝汗については、原発性局所多汗症の診断基準に「睡眠中は発汗が止まっていること」が含まれており、別の原因が背景にあることがあります。
Q. 汗くらいで病院に行ってもよいのでしょうか?
行ってよいものです。日本皮膚科学会のガイドラインが引く調査では、原発性局所多汗症の有病率は10.0%である一方、医療機関への受診経験率は4.6%、受診の継続は0.7%にとどまっています。抱えている人の数に対して、受診している人がきわめて少ないのが実情です。日常生活に支障が出ているなら、相談する理由として十分です。
Q. 寝汗がひどいのですが、多汗症ですか?
原発性局所多汗症の診断基準には「睡眠中は発汗が止まっていること」が含まれています。寝汗が主役の場合、原発性局所多汗症からは外れる方向の所見です。甲状腺の病気や感染症など、別の原因が背景にあることがあるため、まず医療機関でご確認ください。東洋医学では潤い不足(陰虚)の傾向として読みますが、それは診断の代わりにはなりません。
Q. 市販の制汗剤は使ってもよいですか?
肌に合っていて困っていなければ、そのままお使いいただいて構いません。当薬局が制汗剤の使用を止めることはありません。かぶれや刺激感が出た場合は使用を中止し、皮膚科にご相談ください。
Q. 市販の漢方を試しましたが、しっくりきません。なぜでしょうか?
市販の漢方薬は、特定のタイプに合わせて作られています。多汗症では複数のタイプの特徴が重なって見えることがあり、そうした場合はひとつの処方が体質の主軸と合わないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる形をとる方もいらっしゃいます。
Q. 西洋薬を服用中ですが、漢方は併用できますか?
お薬手帳を拝見して確認します。甘草(カンゾウ)を含む漢方では、まれに偽アルドステロン症(低カリウム血症・血圧上昇・むくみ)が起こることがあります。厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」は、高血圧症や心不全に対してチアジド系降圧利尿薬やループ利尿薬が投与されている場合、糖尿病に対してインスリンが投与されている場合に「低カリウム血症を生じやすく、重篤化しやすいので、注意が必要である」としています。同マニュアルはこのほか、副腎皮質ステロイド・甲状腺ホルモン薬・経口避妊薬・アスピリン・イブプロフェンなども低カリウム血症を惹起しうるとして、併用時の注意を挙げています。初期症状としては「手足のしびれ、つっぱり感、こわばり」「徐々に進行する四肢の脱力や筋肉痛」が挙げられています。服用中のお薬は必ずお知らせください。
Q. 予約方法とキャンセルについて教えてください。
LINE・お電話・Web予約から承ります。ご予約の変更やキャンセルが必要になった場合は、分かった時点でLINEまたはお電話でご連絡ください。
Q. 女性の悩みを男性薬剤師に話しづらいのですが。
ご相談者の9割が女性です。ご予約時に「女性スタッフを希望」とお伝えいただければ調整いたします。
本記事は東洋医学・漢方に関する一般的な解説であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。漢方の体感には個人差があります。妊娠中・授乳中の方、医療機関で治療中の方、慢性疾患をお持ちの方は、必ず事前に薬剤師にご相談ください。甘草(カンゾウ)を含む漢方では、まれに偽アルドステロン症(低カリウム血症・血圧上昇・むくみ)が起こることがあります。厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」は、チアジド系降圧利尿薬・ループ利尿薬やインスリンが使われている場合に低カリウム血症を生じやすいとし、副腎皮質ステロイド・甲状腺ホルモン薬・経口避妊薬・アスピリン・イブプロフェンなども低カリウム血症を惹起しうるとしています。服用中のお薬は事前にお知らせください。気になる症状がある場合は、医療機関の受診を優先してください。