機能性ディスペプシアの漢方相談|薬剤師が5タイプで見立てる
2000年銀座にて漢方薬局を開業。30〜50代女性の冷え・婦人科・慢性不調のご相談を延べ1万人以上担当。女性のご相談者が9割を占めます。
公開日:2026年8月27日
結論からお伝えすると、機能性ディスペプシアに漢方を使うときは「胃薬」を探すのではなく、胃の力・気の巡り・冷え・こもった熱・水の停滞のどこに主役があるかを5つに分けて考えます。診断と治療は消化器内科で受けたうえで、体質の側から並行してご相談いただけます。
なお、当薬局のご相談は医師による診断ではなく、東洋医学の考え方にもとづく体質の見立てです。診断・治療は医療機関で行われることを前提にお読みください。
「少し食べただけですぐお腹がいっぱいになる」
「みぞおちが痛むのに、胃カメラでは異常なしと言われた」
「食後の胃もたれが何ヶ月も続いている」
機能性ディスペプシア(きのうせいでぃすぺぷしあ)は、検査で異常が見つからないために「気のせい」と受け取られやすい不調です。まずこの病気がどう定義され、どのくらいの頻度で見られるのかを整理したうえで、東洋医学から見た5つの体質タイプを順に見ていきます。
1. なぜ胃カメラで異常がないのに胃の不調が続くのか?
体重が減ってきている/黒いタール状の便が出た/飲み込みにくい・つかえる/貧血を指摘された/繰り返し吐いている/夜中に痛みで目が覚める。以上は当薬局からのお願いとして挙げているもので、学会が定めた基準ではありません。これらに当てはまる場合は、漢方の相談より先に消化器内科をご受診ください。機能性ディスペプシアは、器質的・全身性・代謝性の病気がないことを確かめたうえで診断されるものです。当薬局は診断をする場ではありません。
機能性ディスペプシア(FD)には定義があります。日本消化器病学会の患者・家族向けガイドは「症状の原因となる器質的、全身性、代謝性疾患がないのにもかかわらず、慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患」としています。「異常がないのに症状がある」ことが除外条件ではなく、定義そのものに書き込まれているのがこの病気の特徴です(日本消化器病学会「患者さんとご家族のための機能性ディスペプシア ガイド2023」)。
頻度も示されています。「健康診断を受けた人(健診受診者)のうち11〜17%」、「病院にかかった人(病院受診者)のうち45〜53%」。胃の不調で病院にかかった人のうち半数前後が該当するということで、めずらしい病気ではありません。
慢性胃炎との違いにも触れられています。同ガイドは「胃の炎症は必ずしも症状と関連しない」としています。「胃炎があるから症状が出ている」とも、「炎症がないから症状は気のせいだ」とも言えない、ということです。検査で異常がないことは、つらさが無いことを意味しません。
東洋医学では、機能性ディスペプシアという病名を使いません。みぞおちの症状を、胃腸の力が足りていない、緊張で気の巡りが胃に及んでいる、胃が冷えている、胃に熱がこもっている、水が停滞している——という体全体の傾向のあらわれとして読みます。同じ「胃もたれ」でも、食後に決まって出る方と、緊張したときだけ出る方では、体の側の事情が違うと考えるわけです。
なお、FDと診断がついていない段階でも、先に確かめるべきものがあります。体重減少・黒い便・飲み込みにくさ・貧血・繰り返す嘔吐などは、器質的な病気を疑う所見です。これらがある場合は、漢方の相談より先に消化器内科をご受診ください。
2. 東洋医学では機能性ディスペプシアをどう5つに分けるのか?
東洋医学では機能性ディスペプシアという病名を使いません。検査で異常がない胃の不調を、胃腸の力・気の巡り・冷え・熱・水の停滞のどれが主役かで整理します。次の5つを目安にします。※内視鏡等での器質的疾患の除外を優先してください。
タイプ1:胃腸の力不足型|脾胃気虚(ひいききょ)
胃腸そのものの力が落ちている傾向。少し食べただけで満腹になり、食後に強い眠気とだるさが出ます。疲れると悪化するのが特徴です。
タイプ2:気の巡り停滞型|肝胃不和(かんいふわ)
ストレスで気の巡りが滞り、胃に及んでいる傾向。みぞおちの張り・げっぷ・ため息が主役で、症状の強さがその日の緊張度に左右されます。
タイプ3:冷え型|脾胃虚寒(ひいきょかん)
胃腸が冷えている傾向。冷たいものでみぞおちが痛み、温めると楽になります。冬や冷房で悪化するという反応がはっきり出ます。
タイプ4:熱こもり型|胃熱(いねつ)
胃に熱がこもっている傾向。焼けるような感じ・口の渇き・口臭が出て、冷たいものを欲しがります。辛いもの・お酒で強まります。
タイプ5:水の停滞型|痰飲(たんいん)
胃に水が停滞している傾向。みぞおちでちゃぷちゃぷ音がする、吐き気・めまい感をともなうという訴えになります。雨の日に悪化します。
なお、この5つで説明がつかない方もいらっしゃいます。体重減少や黒い便をともなう場合、症状が一方向に悪化し続ける場合は、東洋医学の枠組みより先に消化器内科での確認が要ります。5つに当てはめること自体が目的ではありません。
3. 自分はどのタイプ? 20問セルフチェック
全20問です。各タイプ4項目のうち2つ以上当てはまれば、そのタイプの傾向があります。3つ以上当てはまるタイプが、いまの体質の主軸に近いと考えてください。2つ以上当てはまるタイプが複数ある場合は、下の「2タイプ以上に当てはまる方へ」をお読みください。
※この2つ・3つという目安は、ご相談前の整理のために当薬局が置いているもので、診断基準ではありません。
- 少量で満腹になる
- 食後に強い眠気とだるさが出る
- 疲れると悪化する
- 軟便になりやすい・声に力が出ない
- みぞおちが張る・げっぷが多い
- ストレスで悪化する
- ため息が多い・胸がつかえる
- 食欲が日によって大きく変わる
- 冷たいもので痛む・温めると楽になる
- 冬や冷房で悪化する
- 手足やお腹が冷たい
- 水っぽいものを吐くことがある
- みぞおちが焼けるように感じる
- 冷たい飲み物を欲しがる
- 口が渇く・口臭が気になる
- 便秘がち
- みぞおちで水の音がする
- 吐き気・めまい感をともなう
- 雨の日や湿度の高い日に悪化する
- 体が重だるい・むくみやすい
複数のタイプの特徴が重なって見えることがあります(当薬局の見立て上の整理で、件数として集計したものではありません)。その場合、市販の一処方では体質の主軸に届かないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる煎じ薬という選択肢もあります。
4. タイプ別に、今日から何ができるか?

いずれも日々の食事と暮らしの範囲でできることです。合わないと感じたら続けないでください。
みぞおちの症状は、何を食べたかよりどう食べたかで変わることがあります。2週間だけ、①食べた時刻 ②量(いつもの何割か) ③食後につらさが出るまでの時間の3つを記録してください。「食べてすぐ」か「2〜3時間後」かで、見立ての向きが変わります。あわせて、よく噛む・冷たい飲み物を食事中に多く摂らない・就寝直前の食事を避ける、の3点を試してみてください。合わないと感じたら続けないでください。
タイプ1:胃腸の力不足型
合う食材:山芋・かぼちゃ・うるち米・なつめ
暮らし:一度の量を減らして回数を増やす。よく噛む
タイプ2:気の巡り停滞型
合う食材:しそ・柑橘類・陳皮・ジャスミン茶
暮らし:食事中にスマホを見ない。夕方の軽い散歩
タイプ3:冷え型
合う食材:しょうが・シナモン・ねぎ・かぼちゃ
暮らし:常温以上の飲み物にする。腹巻きを使う
タイプ4:熱こもり型
合う食材:大根・れんこん・トマト・緑茶
暮らし:辛いもの・揚げ物・アルコールを控えめに
タイプ5:水の停滞型
合う食材:生姜・大根・はと麦・陳皮
暮らし:食事中の水分を控えめに。冷たい飲み物を減らす
5. 機能性ディスペプシアの裏に何が隠れているのか?
胃の不調は、季節や生活の場面で出方が変わります。当てはまるきっかけが決まっている方は、その場面別の記事のほうが具体策に届きます。
- 忙しさ・緊張で痛む(気の巡り停滞型の方へ) → 「年末の忙しさで胃が痛む方へ」
- 食べすぎ・飲みすぎで重くなる(熱こもり型・水の停滞型の方へ) → 「忘年会の食べすぎで胃が重い方へ」
- 食欲不振と下痢が重なる(胃腸の力不足型の方へ) → 「春の胃腸不調と漢方」
- 湿気の多い時期に悪化する(水の停滞型の方へ) → 「梅雨の食欲不振・胃もたれ5タイプと漢方」
- 自分がどのタイプか分からないとき(5タイプのセルフチェック) → 「冬の胃腸診断」
また、みぞおちの症状は睡眠・緊張・便通と地続きです。胃のことだけを追いかけても戻ってしまうと感じている方は、初回のご相談で睡眠・便通・仕事の状況もあわせて伺います。
6. 市販の漢方が合わないのはなぜ?
市販の漢方薬は、特定のタイプに合わせて設計されています。複数のタイプにまたがる不調では、ひとつの処方が体質の主軸と噛み合わないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる形をとる方もいらっしゃいます。
ただし、これは市販薬を否定するものではありません。合っている方はそのまま続けていただいて構いません。
消化器内科で酸分泌抑制薬や消化管運動改善薬を処方されている方も、それらを続けたままご相談いただけます。当薬局はそれらの薬を減らす・やめる判断をする場ではありません。処方内容はお薬手帳で確認し、飲み合わせに注意が要る組み合わせがあればその場でお伝えします。
7. 相談すると何をして、いくらかかるのか?
ご相談の流れ:①LINE・お電話・Web予約でご予約 →②ご来店。体調・お悩み・これまでの経過・暮らしを伺い、脈と舌を拝見 →③体質の主軸を整理し、合う処方をご提案 →④煎じ薬をお渡し →⑤経過を確認し、必要なら処方を調整。脈と舌を実際に拝見するため、ご相談は来店を基本としています。
無料相談は30分です。まずはここでお身体の状態と、漢方が選択肢になるかを整理します。継続される場合の費用の目安は毎月15,000〜25,000円程度です。煎じ薬は1日分パックで、朝5〜10分で準備できます。短期間のおためしコースもご用意していますので、金額と内容は無料相談の際にご案内します。
※ 2026年8月27日 時点のご案内です。金額は変わることがあります。
※LINE登録でお渡しする5,000円OFFクーポンは通常の1か月コースが対象です。おためし2週間コースなど、他の割引との併用はできません。
医療機関で治療を受けている方は、その治療を続けながらご相談ください。当薬局は診断を行う場ではありません。お薬手帳をお持ちいただけると、併用の確認がスムーズです。
機能性ディスペプシアのお悩みを、体質から見立てます
無料相談(30分)で、これまでの経過・お薬・暮らしを伺い、脈と舌からお身体の状態を整理します。薬剤師歴45年以上の柳澤が担当します。
▶ LINE登録で5,000円OFFクーポン進呈(通常の1か月コースが対象・他の割引との併用不可)
📞 03-3547-5102(13:00〜19:00/土日祝休)
🗓️ Web予約 📍 地図・アクセス(〒104-0061 東京都中央区銀座3-14-4/東銀座駅 徒歩3分)
※ 医療機関での診断・治療を受けている方は、そちらを優先してください。当薬局のご相談は診断ではなく、東洋医学の考え方による体質の見立てです。自己判断で治療を中断しないでください。
※お身体の変化には個人差があります。妊娠中・授乳中・服薬中の方は事前にお知らせください。
8. よくある質問(FAQ)
Q. 消化器内科に通っていますが、漢方相談も受けられますか?
はい。通院しながらご相談に来られる方もいらっしゃいます。当薬局のご相談は診断ではなく、東洋医学の考え方による体質の見立てです。処方されているお薬がある場合は、お薬手帳をお持ちください。医療機関での治療は自己判断で中断せず、続けながらご相談ください。
Q. どんなときに医療機関を受診したほうがよいですか?
体重が減ってきている・黒いタール状の便が出た・飲み込みにくい・貧血を指摘された・繰り返し吐いている・夜中に痛みで目が覚める、というときは漢方相談より先に消化器内科をご受診ください。機能性ディスペプシアは、器質的・全身性・代謝性の病気がないことを確かめたうえで診断されるものです。
Q. 胃カメラで異常なしと言われました。気のせいでしょうか?
いいえ。日本消化器病学会のガイドは、機能性ディスペプシアを「症状の原因となる器質的、全身性、代謝性疾患がないのにもかかわらず、慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患」と定義しています。検査で異常が出ないことは、この病気では前提のほうに書かれています。また同ガイドは頻度として「病院にかかった人(病院受診者)のうち45〜53%」を挙げており、めずらしいことでもありません。
Q. 慢性胃炎と言われたのですが、それが原因ですか?
同じガイドは「胃の炎症は必ずしも症状と関連しない」としています。炎症の有無と症状の強さが一致するとは限らないということです。どちらの見立てで進めるかは主治医の判断になります。当薬局は診断をする場ではなく、東洋医学の考え方で体質の傾向を整理する場です。
Q. 食事はどう変えればよいですか?
まずは何を食べるかより、どう食べるかから始めてください。よく噛む・食事中に冷たい飲み物を多く摂らない・就寝直前の食事を避ける、の3点です。そのうえで、食後につらさが出るまでの時間を2週間記録していただけると、タイプの見当がつきやすくなります。合わないと感じたものは続けないでください。
Q. 市販の漢方を試しましたが、しっくりきません。なぜでしょうか?
市販の漢方薬は、特定のタイプに合わせて作られています。機能性ディスペプシアでは複数のタイプの特徴が重なって見えることがあり、そうした場合はひとつの処方が体質の主軸と合わないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる形をとる方もいらっしゃいます。
Q. 西洋薬を服用中ですが、漢方は併用できますか?
お薬手帳を拝見して確認します。甘草(カンゾウ)を含む漢方では、まれに偽アルドステロン症(低カリウム血症・血圧上昇・むくみ)が起こることがあります。厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」は、高血圧症や心不全に対してチアジド系降圧利尿薬やループ利尿薬が投与されている場合、糖尿病に対してインスリンが投与されている場合に「低カリウム血症を生じやすく、重篤化しやすいので、注意が必要である」としています。同マニュアルはこのほか、副腎皮質ステロイド・甲状腺ホルモン薬・経口避妊薬・アスピリン・イブプロフェンなども低カリウム血症を惹起しうるとして、併用時の注意を挙げています。初期症状としては「手足のしびれ、つっぱり感、こわばり」「徐々に進行する四肢の脱力や筋肉痛」が挙げられています。服用中のお薬は必ずお知らせください。
Q. 予約方法とキャンセルについて教えてください。
LINE・お電話・Web予約から承ります。ご予約の変更やキャンセルが必要になった場合は、分かった時点でLINEまたはお電話でご連絡ください。
Q. 女性の悩みを男性薬剤師に話しづらいのですが。
ご相談者の9割が女性です。ご予約時に「女性スタッフを希望」とお伝えいただければ調整いたします。
本記事は東洋医学・漢方に関する一般的な解説であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。漢方の体感には個人差があります。妊娠中・授乳中の方、医療機関で治療中の方、慢性疾患をお持ちの方は、必ず事前に薬剤師にご相談ください。甘草(カンゾウ)を含む漢方では、まれに偽アルドステロン症(低カリウム血症・血圧上昇・むくみ)が起こることがあります。厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」は、チアジド系降圧利尿薬・ループ利尿薬やインスリンが使われている場合に低カリウム血症を生じやすいとし、副腎皮質ステロイド・甲状腺ホルモン薬・経口避妊薬・アスピリン・イブプロフェンなども低カリウム血症を惹起しうるとしています。服用中のお薬は事前にお知らせください。気になる症状がある場合は、医療機関の受診を優先してください。