多嚢胞性卵巣症候群の漢方相談|薬剤師が5タイプで見立てる

多嚢胞性卵巣症候群の漢方相談|薬剤師が5タイプで見立てる

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の漢方相談|銀座漢方天風堂薬局
監修: 柳澤 謙行(やなぎさわ けんこう)/銀座漢方天風堂薬局 薬剤師(薬剤師歴45年以上)
2000年銀座にて漢方薬局を開業。30〜50代女性の冷え・婦人科・慢性不調のご相談を延べ1万人以上担当。女性のご相談者が9割を占めます。

公開日:2026年8月25日

結論からお伝えすると、多嚢胞性卵巣症候群に漢方を使うときは「排卵させる薬」を探すのではなく、水はけ・冷え・気の巡り・血の滞り・こもった熱の5つに分けて考えます。診断と治療は婦人科で受けてください。そのうえで、体質の側から並行してご相談いただけます。

なお、当薬局のご相談は医師による診断ではなく、東洋医学の考え方にもとづく体質の見立てです。診断・治療は医療機関で行われることを前提にお読みください。

「月経が2〜3ヶ月来ないことがある」
「基礎体温が二相に分かれない」
「妊娠を考えているのに、周期が読めない」

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、月経不順という日常的な言葉の陰に隠れて、名前にたどり着くまで時間がかかることのある病気です。まず学会の診断基準がどういう構造になっているかを整理したうえで、東洋医学から見た5つの体質タイプを順に見ていきます。

目次

1. なぜ排卵がうまくいかなくなるのか?──診断の3条件

漢方相談カウンターのイメージ
先に婦人科を受診していただきたいサイン
月経が3ヶ月以上来ない/急に体重が増えた・減った/ひげや体毛が急に濃くなった/首の後ろや脇の皮膚が黒ずんできた/妊娠を希望していて1年以上授からない/不正出血が続く。以上は当薬局からのお願いとして挙げているもので、学会が定めた基準ではありません。これらに当てはまる場合は、漢方の相談より先に婦人科をご受診ください。多嚢胞性卵巣症候群の診断は、3つの条件すべてを満たすかどうかを婦人科が検査で判断するものです。当薬局は診断をする場ではありません。

PCOSの診断には、はっきりした構造があります。日本産科婦人科学会 生殖・内分泌委員会の「多囊胞性卵巣症候群の診断基準(2024)」は「以下の1〜3の全てを満たすものを多囊胞性卵巣症候群とする」としています。ひとつ当てはまれば診断がつく、という形ではありません。3つすべてが必要です(日本産科婦人科学会 生殖・内分泌委員会 診断基準2024)。

1つ目の月経周期異常については「月経周期異常は、無月経、希発月経、無排卵周期症のいずれかとする。」と定められています。「周期が乱れている」という自覚だけでなく、どの型かで見ます。

近年の改訂で加わったのがAMH(抗ミュラー管ホルモン)です。同基準は「AMH高値を多囊胞卵巣所見の代わりに用いることができる。」とする一方で、「AMH高値だけでPCOSを診断することはできない。」とも明記しています。検査で高い値が出たことと、診断がつくことは別です。ここは誤解が起きやすいところなので、結果の解釈は必ず主治医にご確認ください。

年代による扱いの違いもあります。「思春期症例(初経後8年、概ね18歳未満)では卵巣所見およびAMHを用いず」とされています。若い方では判断の仕方そのものが変わる、ということです。

東洋医学では、多嚢胞性卵巣症候群という病名を使いません。水がさばけず滞っている、体を温める力が落ちている、気の巡りが滞っている、血が滞っている、熱と水の停滞が重なっている——という体全体の傾向のあらわれとして読みます。同じ「周期が乱れる」でも、体重の増加をともなう方と、冷えが土台にある方では、体の側の事情が違うと考えるわけです。

2. 東洋医学では多嚢胞性卵巣症候群をどう5つに分けるのか?

体質を見立てる漢方薬局

東洋医学では多嚢胞性卵巣症候群という病名を使いません。「水と血の滞りが、月のリズムを止めている」という見方が土台になります。次の5つを目安にします。※婦人科での診断と治療を優先してください。

タイプ1:水はけ低下型|痰湿阻滞(たんしつそたい)

水分をさばく力が落ち、体に停滞が起きている傾向。体重が増えやすく、おりものが多め、月経が遅れがちになります。

タイプ2:冷え・虚弱型|腎陽虚(じんようきょ)

体を温める力が落ちている傾向。冷えと強い疲労が土台にあり、月経周期が長く経血量が少なくなります。冬に悪化しやすいタイプです。

タイプ3:気の巡り停滞型|肝気鬱結(かんきうっけつ)

ストレスで気の巡りが滞っている傾向。周期が不安定で、乳房の張り・いらだち・ため息をともないます。忙しい時期に周期が乱れます。

タイプ4:血の滞り型|瘀血(おけつ)

血の巡りが滞っている傾向。月経痛が強く、かたまりが出ます。にきび・顔のくすみ・舌の暗い色が重なることがあります。

タイプ5:熱こもり型|痰熱(たんねつ)

停滞した水に熱が加わっている傾向。にきびが顎まわりに出やすく、体毛が濃くなる、脂っぽくなるという訴えが重なります。

なお、この5つで説明がつかない方もいらっしゃいます。まだ婦人科で診断を受けていない方は、そちらが先です。5つに当てはめること自体が目的ではありません。

3. 自分はどのタイプ? 20問セルフチェック

全20問です。各タイプ4項目のうち2つ以上当てはまれば、そのタイプの傾向があります。3つ以上当てはまるタイプが、いまの体質の主軸に近いと考えてください。2つ以上当てはまるタイプが複数ある場合は、下の「2タイプ以上に当てはまる方へ」をお読みください。
※この2つ・3つという目安は、ご相談前の整理のために当薬局が置いているもので、診断基準ではありません。

タイプ1:水はけ低下型(痰湿阻滞(たんしつそたい))
  • 体重が増えやすい・減りにくい
  • 月経が遅れがち・来ない月がある
  • おりものが多い
  • 体が重だるい・眠気が強い
タイプ2:冷え・虚弱型(腎陽虚(じんようきょ))
  • 手足やお腹の冷えが強い
  • 周期が長い・経血量が少ない
  • 腰やひざが重だるい
  • 夜間にトイレで目が覚める
タイプ3:気の巡り停滞型(肝気鬱結(かんきうっけつ))
  • 周期が月ごとにばらつく
  • 乳房が張る・いらだつ
  • ため息が多い
  • 忙しい時期に乱れる
タイプ4:血の滞り型(瘀血(おけつ))
  • 月経痛が強い・かたまりが出る
  • 経血の色が黒っぽく濃い
  • 顔にくすみ・にきびが出やすい
  • 肩こりが強い
タイプ5:熱こもり型(痰熱(たんねつ))
  • 顎やフェイスラインににきびが出る
  • 肌や髪が脂っぽい
  • 口が粘る・便がすっきり出ない
  • のぼせやすい
2タイプ以上に当てはまる方へ
複数のタイプの特徴が重なって見えることがあります(当薬局の見立て上の整理で、件数として集計したものではありません)。その場合、市販の一処方では体質の主軸に届かないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる煎じ薬という選択肢もあります。

自分のタイプがわからない方は、ご相談ください

無料相談(30分)で、脈・舌・これまでの経過から、体質の主軸を整理します。

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4. タイプ別に、今日から何ができるか?

小皿に分けた生薬。ウイキョウ・ナツメ・人参と乳鉢
当薬局が保有する生薬の写真です(撮影日の記録はありません)。体質の見立てに合わせてこれらを組み合わせます。

いずれも日々の食事と暮らしの範囲でできることです。合わないと感じたら続けないでください。

全タイプ共通:基礎体温を3周期つけて受診時に持参する
診断基準の1つ目は月経周期異常で、無月経・希発月経・無排卵周期症のいずれかとされています。基礎体温が二相に分かれているかどうかは、この判断の手がかりになります。3周期ぶん、①起床時の体温 ②月経の開始日 ③不正出血の有無 を記録して、受診の際にお持ちください。当薬局のご相談でも、この記録があると見立ての精度が上がります。体重の急な増減は周期に影響することがあるため、極端な食事制限は避けてください。

タイプ1:水はけ低下型

合う食材:はと麦・冬瓜・大根・とうもろこしのひげ茶
暮らし:冷たい飲み物と甘いものを減らす。毎日20分の早歩き

タイプ2:冷え・虚弱型

合う食材:しょうが・シナモン・くるみ・黒豆
暮らし:腰と足首を冷やさない。湯船につかる

タイプ3:気の巡り停滞型

合う食材:しそ・柑橘類・セロリ・ジャスミン茶
暮らし:予定に余白をつくる。夕方の軽い散歩

タイプ4:血の滞り型

合う食材:黒きくらげ・玉ねぎ・青魚・サフラン
暮らし:同じ姿勢を続けない。下半身を締めつけすぎない

タイプ5:熱こもり型

合う食材:大根・れんこん・どくだみ茶・はと麦
暮らし:揚げ物・乳製品・甘いものを控えめに

5. 多嚢胞性卵巣症候群の裏に何が隠れているのか?

周期の乱れは、重なっている不調で打ち手が変わります。当てはまるものが決まっている方は、その症状別の記事のほうが具体策に届きます。

また、周期の乱れは体重・睡眠・ストレス・胃腸と地続きです。周期だけを整えようとしても戻ってしまうと感じている方は、初回のご相談で体重の変化・睡眠・食事・便通もあわせて伺います。

6. 市販の漢方が合わないのはなぜ?

市販の漢方薬は、特定のタイプに合わせて設計されています。複数のタイプにまたがる不調では、ひとつの処方が体質の主軸と噛み合わないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる形をとる方もいらっしゃいます。

ただし、これは市販薬を否定するものではありません。合っている方はそのまま続けていただいて構いません。

婦人科でOC・LEP(低用量ピル)や排卵誘発薬、インスリン抵抗性改善薬などを処方されている方も、それらを続けたままご相談いただけます。当薬局はそれらの薬を減らす・やめる判断をする場ではありません。とくに妊娠を計画されている場合、治療の時期の組み立ては主治医の判断が優先されます。処方内容はお薬手帳で確認し、飲み合わせに注意が要る組み合わせがあればその場でお伝えします。

7. 相談すると何をして、いくらかかるのか?

漢方相談カウンターのイメージ

ご相談の流れ:①LINE・お電話・Web予約でご予約 →②ご来店。体調・お悩み・これまでの経過・暮らしを伺い、脈と舌を拝見 →③体質の主軸を整理し、合う処方をご提案 →④煎じ薬をお渡し →⑤経過を確認し、必要なら処方を調整。脈と舌を実際に拝見するため、ご相談は来店を基本としています。

無料相談は30分です。まずはここでお身体の状態と、漢方が選択肢になるかを整理します。継続される場合の費用の目安は毎月15,000〜25,000円程度です。煎じ薬は1日分パックで、朝5〜10分で準備できます。短期間のおためしコースもご用意していますので、金額と内容は無料相談の際にご案内します。
※ 2026年8月25日 時点のご案内です。金額は変わることがあります。

※LINE登録でお渡しする5,000円OFFクーポンは通常の1か月コースが対象です。おためし2週間コースなど、他の割引との併用はできません。

医療機関で治療を受けている方は、その治療を続けながらご相談ください。当薬局は診断を行う場ではありません。お薬手帳をお持ちいただけると、併用の確認がスムーズです。

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📞 03-3547-5102(13:00〜19:00/土日祝休)

🗓️ Web予約 📍 地図・アクセス(〒104-0061 東京都中央区銀座3-14-4/東銀座駅 徒歩3分)

※ 医療機関での診断・治療を受けている方は、そちらを優先してください。当薬局のご相談は診断ではなく、東洋医学の考え方による体質の見立てです。自己判断で治療を中断しないでください。

※お身体の変化には個人差があります。妊娠中・授乳中・服薬中の方は事前にお知らせください。

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8. よくある質問(FAQ)

Q. 婦人科に通っていますが、漢方相談も受けられますか?

はい。通院しながらご相談に来られる方もいらっしゃいます。当薬局のご相談は診断ではなく、東洋医学の考え方による体質の見立てです。処方されているお薬がある場合はお薬手帳をお持ちください。妊娠を計画されている場合は、その旨も必ずお伝えください。

Q. どんなときに医療機関を受診したほうがよいですか?

月経が3ヶ月以上来ない・急に体重が増えた(減った)・ひげや体毛が急に濃くなった・首の後ろや脇の皮膚が黒ずんできた・妊娠を希望していて1年以上授からない・不正出血が続く、というときは漢方相談より先に婦人科をご受診ください。

Q. AMHが高いと言われました。PCOSということですか?

いいえ。日本産科婦人科学会の診断基準(2024)は「AMH高値を多囊胞卵巣所見の代わりに用いることができる。」とする一方で、「AMH高値だけでPCOSを診断することはできない。」と明記しています。診断は3つの条件すべてを満たすかどうかで判断されます。検査結果の解釈は必ず主治医にご確認ください。

Q. 月経不順があればPCOSですか?

いいえ。同基準は「以下の1〜3の全てを満たすものを多囊胞性卵巣症候群とする」としており、3つすべてが必要です。月経周期異常については「無月経、希発月経、無排卵周期症のいずれかとする。」と定められています。どれに当たるかを含めて、判断は婦人科が行います。

Q. 10代の娘のことで相談したいのですが。

同基準には「思春期症例(初経後8年、概ね18歳未満)では卵巣所見およびAMHを用いず」という記載があり、年代によって判断の仕方そのものが変わります。まず婦人科(思春期の月経を扱っている施設)でご相談ください。当薬局のご相談では、年齢と体重によって扱える範囲が変わります。

Q. 市販の漢方を試しましたが、しっくりきません。なぜでしょうか?

市販の漢方薬は、特定のタイプに合わせて作られています。多嚢胞性卵巣症候群では複数のタイプの特徴が重なって見えることがあり、そうした場合はひとつの処方が体質の主軸と合わないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる形をとる方もいらっしゃいます。

Q. 西洋薬を服用中ですが、漢方は併用できますか?

お薬手帳を拝見して確認します。甘草(カンゾウ)を含む漢方では、まれに偽アルドステロン症(低カリウム血症・血圧上昇・むくみ)が起こることがあります。厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」は、高血圧症や心不全に対してチアジド系降圧利尿薬やループ利尿薬が投与されている場合、糖尿病に対してインスリンが投与されている場合に「低カリウム血症を生じやすく、重篤化しやすいので、注意が必要である」としています。同マニュアルはこのほか、副腎皮質ステロイド・甲状腺ホルモン薬・経口避妊薬・アスピリン・イブプロフェンなども低カリウム血症を惹起しうるとして、併用時の注意を挙げています。初期症状としては「手足のしびれ、つっぱり感、こわばり」「徐々に進行する四肢の脱力や筋肉痛」が挙げられています。服用中のお薬は必ずお知らせください。

Q. 予約方法とキャンセルについて教えてください。

LINE・お電話・Web予約から承ります。ご予約の変更やキャンセルが必要になった場合は、分かった時点でLINEまたはお電話でご連絡ください。

Q. 女性の悩みを男性薬剤師に話しづらいのですが。

ご相談者の9割が女性です。ご予約時に「女性スタッフを希望」とお伝えいただければ調整いたします。

免責事項
本記事は東洋医学・漢方に関する一般的な解説であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。漢方の体感には個人差があります。妊娠中・授乳中の方、医療機関で治療中の方、慢性疾患をお持ちの方は、必ず事前に薬剤師にご相談ください。甘草(カンゾウ)を含む漢方では、まれに偽アルドステロン症(低カリウム血症・血圧上昇・むくみ)が起こることがあります。厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」は、チアジド系降圧利尿薬・ループ利尿薬やインスリンが使われている場合に低カリウム血症を生じやすいとし、副腎皮質ステロイド・甲状腺ホルモン薬・経口避妊薬・アスピリン・イブプロフェンなども低カリウム血症を惹起しうるとしています。服用中のお薬は事前にお知らせください。気になる症状がある場合は、医療機関の受診を優先してください。
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