更年期の体重増加と漢方|薬剤師が5タイプで見立てる太り方の違い
2000年銀座にて漢方薬局を開業。30〜50代女性の冷え・婦人科・慢性不調のご相談を延べ1万人以上担当。女性のご相談者が9割を占めます。
公開日:2026年9月14日
結論からお伝えすると、更年期の体重増加に漢方を使うときは「痩せる薬」を探すのではなく、どこに付いたか・いつから増えたか・何と一緒に来ているかを5つに分けて考えます。体重そのものを落とすための薬としてお出しするものではありません。
なお、当薬局のご相談は医師による診断ではなく、東洋医学の考え方にもとづく体質の見立てです。診断・治療は医療機関で行われることを前提にお読みください。
「食べる量は変えていないのに、1年で4kg増えた」
「昔と同じダイエットをしても、まったく動かない」
「増えたのがお腹まわりだけで、服のサイズが合わなくなった」
「去年と同じ食事なのに、去年の服が入らない」——更年期の体重増加は、努力の量ではなく体の側の条件が変わったことで起きます。まず学会と厚生労働省がこの時期の変化をどう説明しているかを整理したうえで、東洋医学から見た5つの体質タイプを順に見ていきます。
1. なぜ、食べる量を変えていないのに増えるのか?
半年で5kg以上増えた/むくみが強く朝になっても引かない/少し動いただけで息切れがする/首の前が腫れている/強い寒がり・便秘・強い眠気・動作の緩慢さが同時に出ている/気分の落ち込みが2週間以上続いている。以上は当薬局からのお願いとして挙げているもので、学会が定めた基準ではありません。これらに当てはまる場合は、漢方の相談より先に婦人科・内科をご受診ください。これらに当てはまる場合は、漢方の相談より先に婦人科・内科をご受診ください。体重増加は更年期以外の理由でも起こります。日本内分泌学会は甲状腺機能低下症の症状として「無気力、疲労感、むくみ、寒がり、体重増加、動作緩慢、記憶力低下、便秘など」を挙げています(日本内分泌学会「甲状腺機能低下症」)。更年期の変化とよく似た並びです。まず血液検査で確かめられる範囲を確かめてください。
まず、更年期がいつを指すのかを確認します。日本産科婦人科学会は「閉経前の5年間と閉経後の5年間をあわせた10年間を「更年期」といいます」とし、「日本人女性が閉経する平均年齢は、50歳前後といわれています」としています。目安としては45歳前後から55歳前後にあたります(日本産科婦人科学会「更年期障害」)。
この時期に体が変わることは、公的な資料にも書かれています。厚生労働省の学習資材は「エストロゲンは、閉経後、急激に低下し、それに伴い、女性に生じる病態・疾患・体型も大きく変化します」としています。体型の変化が、症状と並んで挙げられているということです(厚生労働省「更年期世代の女性の健康支援に関する学習資材」)。
なぜそこまで広く影響するのかも、同じ資料に説明があります。「女性ホルモンのエストロゲンの作用部位は、子宮だけでなく、生体内に広く分布し、200 もの代謝に関与しています」。200もの代謝に関わっていたものが減るのですから、食事や運動を変えていなくても収支が変わります。これは意志の問題ではありません。
関係は一方向ではありません。同資料は「更年期症状の発現には肥満も関連し、適正な体重を保つために、食事や運動が大事です」ともしています。体重が増えると更年期症状も出やすくなるという向きです。体重の話は、見た目の話としてだけ扱うべきものではないということになります。
もう一点、この時期に押さえておきたい変化があります。同資料は生活習慣病について「女性の高血圧や糖尿病・脂質異常などの生活習慣病は、閉経前は女性ホルモンの影響で比較的有病率が低く、男性より発症しにくいのですが、次第に男性を追い抜いてしまいます」としています。閉経を境に、それまで守られていた側から外れていきます。
東洋医学では、更年期太りという言い方をしません。同じ体重増加でも、気の巡りが滞って食べ方が乱れているのか、水がさばけずむくんでいるのか、血の巡りが滞って固くついたのか、温める力が落ちて下半身に集まっているのか、胃に熱がこもって量を減らせないのか——体の側の事情として読みます。「どこに付いたか」を最初に聞くのはそのためです。
2. 東洋医学では更年期の体重増加をどう5つに分けるのか?
東洋医学では「更年期太り」という言い方をしません。同じ体重増加でも、どこに付くか・いつ増えたか・何と一緒に来ているかで、体の側の事情が違うと考えます。次の5つを目安にします。
タイプ1:気の巡り停滞型|肝気鬱結(かんきうっけつ)
気の巡りが滞っている傾向。体重より先に「お腹が張って苦しい」が来ます。食べる量が一定せず、イライラした日にまとめて食べてしまい、翌朝は食欲がない——という波が特徴です。増えた分は主にウエストまわりに出ます。
タイプ2:水はけ低下型|脾虚湿盛(ひきょしっせい)
体の水はけが落ちている傾向。増えたのは脂肪より水分で、朝と夜で体重が1kg以上動きます。夕方に靴やリングがきつくなり、押すとへこみが残ります。「太った」というより「膨らんだ」感覚が近い方です。
タイプ3:血の滞り型|瘀血(おけつ)
血の巡りが滞っている傾向。お腹まわりに固くつき、つまむと厚みがあります。肩こり・のぼせ・顔のくすみを同時に持ち、月経があった頃から塊が出ていた方に当てはまる整理です。数年かけてゆっくり増えたのが特徴です。
タイプ4:冷え・不足型|腎陽虚(じんようきょ)
体を温める力が底で落ちている傾向。増えたのは下半身で、太ももとお尻に集中します。腰が重く、夜中にトイレに起きるようになった、寒がりになった——という変化が同じ時期に来ています。食べる量は増えていないのに増えた、という方の整理です。
タイプ5:熱こもり型|胃熱(いねつ)
胃に熱がこもっている傾向。他の4つと違い、食欲そのものが落ちていません。空腹感が強く、冷たいものや甘いものが欲しくなり、口が渇いて便秘がちです。「量を減らせない」ことが本人の実感として先に来るのが特徴です。
なお、この5つで説明がつかない方もいらっしゃいます。急激に増えた場合、むくみが強い場合、寒がりや便秘が同時に強い場合は、東洋医学の枠組みより先に医療機関での確認が要ります。5つに当てはめること自体が目的ではありません。
3. 自分はどのタイプ? 20問セルフチェック
全20問です。各タイプ4項目のうち2つ以上当てはまれば、そのタイプの傾向があります。3つ以上当てはまるタイプが、いまの体質の主軸に近いと考えてください。2つ以上当てはまるタイプが複数ある場合は、下の「2タイプ以上に当てはまる方へ」をお読みください。
※この2つ・3つという目安は、ご相談前の整理のために当薬局が置いているもので、診断基準ではありません。
- イライラした日にまとめて食べてしまう
- お腹が張って苦しい日がある
- 食べる量が日によって大きく違う
- ため息が多い・のどのつかえを感じる
- 朝と夜で体重が1kg以上違う
- 夕方に靴やリングがきつくなる
- すねを押すとへこみが残る
- 体が重だるく、雨の日に悪化する
- お腹まわりに固くつき、つまむと厚みがある
- 肩こりが年々ひどくなっている
- のぼせるのに足は冷える
- 顔色がくすむ・目の下のクマが目立つ
- 太ももとお尻に集中して増えた
- 腰が重く、下半身が冷える
- 夜中にトイレに起きるようになった
- 食べる量は増えていないのに体重が増えた
- 空腹感が強く、食べても満たされない
- 冷たいもの・甘いものが欲しくなる
- 口が渇く・口臭が気になる
- 便秘がち
複数のタイプの特徴が重なって見えることがあります(当薬局の見立て上の整理で、件数として集計したものではありません)。その場合、市販の一処方では体質の主軸に届かないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる煎じ薬という選択肢もあります。
4. タイプ別に、今日から何ができるか?

いずれも日々の食事と暮らしの範囲でできることです。合わないと感じたら続けないでください。
厚生労働省の学習資材は、この時期のエネルギー消費についてはっきり書いています。「更年期症状や体重への影響は、意図的に行う運動だけでなく、日々行動を重ねている、日常の生活活動と食後の熱産生が大きな割合を占めます」。ジムに行くことより、座っている時間を減らすことのほうが割合として大きいということです。同資料は運動習慣のない方について「日常の生活活動の意識的な強化が肝要です」としています。まず①食後に10分歩く ②1時間に一度は立つ ③よく噛んで食べる——この3つから始めてください。食事を減らすことから始めると、下の5タイプのうちタイプ4(冷え・不足型)に近い状態を自分で作ってしまうことがあります(厚生労働省「更年期世代の女性の健康支援に関する学習資材」)。
タイプ1:気の巡り停滞型
合う食材:香りのあるもの(しそ・みかんの皮・セロリ・ミント)
暮らし:食事の前に3回深く息を吐く。食後すぐ座り込まず10分歩く
タイプ2:水はけ低下型
合う食材:はと麦・とうもろこしのひげ茶・冬瓜・小豆
暮らし:冷たい飲み物を減らす。ふくらはぎを動かす時間を1日3回つくる
タイプ3:血の滞り型
合う食材:玉ねぎ・青魚・黒きくらげ・らっきょう
暮らし:湯船に10分つかる。同じ姿勢を1時間以上続けない
タイプ4:冷え・不足型
合う食材:しょうが・黒豆・くるみ・山芋
暮らし:腰とお腹を冷やさない。朝に白湯を1杯飲む
タイプ5:熱こもり型
合う食材:大根・きゅうり・トマト・緑茶(濃くしすぎない)
暮らし:よく噛んで食べる。夜遅い時間の食事を避ける
5. 更年期の体重増加の裏に何が隠れているのか?
体重の増え方は、同時に来ている不調によって読み方が変わります。当てはまるものが決まっている方は、その症状別の記事のほうが具体策に届きます。
- ほてり・のぼせが主役(潤い不足型の方へ) → 「更年期ホットフラッシュ5タイプと漢方」
- 1日のなかで体重が動く(水はけ低下型の方へ) → 「朝と夜の体重差むくみと漢方」
- 年齢とともに動かなくなった(血の滞り型・冷え型の方へ) → 「代謝が落ちて痩せにくい体質と漢方」
- そもそも更年期に入っているのかを確かめたい方へ → 「更年期はいつから?閉経の定義と最初のサイン」
- 冷えが主役(冷え・不足型の方へ) → 「冷え性と漢方 総合ガイド」
また、この時期の体重は睡眠・気分の波・月経の変化と地続きです。体重だけを何とかしようとしても戻ってしまうと感じている方は、初回のご相談で就寝時刻・月経の状況・気分の波・お薬手帳もあわせて伺います。
6. 市販の漢方が合わないのはなぜ?
市販の漢方薬は、特定のタイプに合わせて設計されています。複数のタイプにまたがる不調では、ひとつの処方が体質の主軸と噛み合わないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる形をとる方もいらっしゃいます。
ただし、これは市販薬を否定するものではありません。合っている方はそのまま続けていただいて構いません。
婦人科でホルモン補充療法を受けている方も、その治療を続けたままご相談いただけます。当薬局はそれらの治療を減らす・やめる判断をする場ではありません。処方内容はお薬手帳で確認します。
7. 相談すると何をして、いくらかかるのか?
ご相談の流れ:①LINE・お電話・Web予約でご予約 →②ご来店。体調・お悩み・これまでの経過・暮らしを伺い、脈と舌を拝見 →③体質の主軸を整理し、合う処方をご提案 →④煎じ薬をお渡し →⑤経過を確認し、必要なら処方を調整。脈と舌を実際に拝見するため、ご相談は来店を基本としています。
無料相談は30分です。まずはここでお身体の状態と、漢方が選択肢になるかを整理します。継続される場合の費用の目安は毎月15,000〜25,000円程度です。煎じ薬は1日分パックで、朝5〜10分で準備できます。短期間のおためしコースもご用意していますので、金額と内容は無料相談の際にご案内します。
※ 2026年9月14日 時点のご案内です。金額は変わることがあります。
※LINE登録でお渡しする5,000円OFFクーポンは通常の1か月コースが対象です。おためし2週間コースなど、他の割引との併用はできません。
医療機関で治療を受けている方は、その治療を続けながらご相談ください。当薬局は診断を行う場ではありません。お薬手帳をお持ちいただけると、併用の確認がスムーズです。
更年期の体重増加のお悩みを、体質から見立てます
無料相談(30分)で、これまでの経過・お薬・暮らしを伺い、脈と舌からお身体の状態を整理します。薬剤師歴45年以上の柳澤が担当します。
▶ LINE登録で5,000円OFFクーポン進呈(通常の1か月コースが対象・他の割引との併用不可)
📞 03-3547-5102(13:00〜19:00/土日祝休)
🗓️ Web予約 📍 地図・アクセス(〒104-0061 東京都中央区銀座3-14-4/東銀座駅 徒歩3分)
※ 医療機関での診断・治療を受けている方は、そちらを優先してください。当薬局のご相談は診断ではなく、東洋医学の考え方による体質の見立てです。自己判断で治療を中断しないでください。
※お身体の変化には個人差があります。妊娠中・授乳中・服薬中の方は事前にお知らせください。
8. よくある質問(FAQ)
Q. 更年期になると、必ず太るのでしょうか?
いいえ、必ずではありません。厚生労働省の学習資材は「エストロゲンは、閉経後、急激に低下し、それに伴い、女性に生じる病態・疾患・体型も大きく変化します」として体型の変化を挙げていますが、全員が増えるとは書いていません。当薬局も「更年期だから増える」と決めつけずに伺います。増えた方についても、どこに付いたか・いつからかで見立てが変わります(厚生労働省「更年期世代の女性の健康支援に関する学習資材」)。
Q. 漢方を飲めば痩せますか?
体重を落とすことを目的とした漢方は、当薬局ではお出ししていません。当薬局のご相談は、体質の偏りを整える方向のもので、体重の数字を目標にするものではありません。体重が動くかどうか、どのくらいかかるかをお約束することもできません。「痩せる漢方はありますか」というお問い合わせをいただくことがありますが、その形ではお応えできないとお伝えしています。
Q. 更年期障害に漢方が使われることはあるのですか?
あります。厚生労働省の学習資材は「更年期障害の治療には、漢方薬が使われることもあります」とし、「貧血気味で冷え症、めまい、頭重感がある人には『当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)』、肩こり、イライラ、不眠などがある人には『加味逍遥散(かみしょうようさん)』、強い肩こり、多汗などがある人には『桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)』、のぼせ、便秘、イライラ、興奮などがある人には『桃核承気湯(とうかくじょうきとう)』、などが更年期障害でよく処方される漢方薬です」としています。ただしこれは更年期障害の症状に対しての記載で、体重を減らす目的で挙げられているものではありません。また、どなたにも同じ処方が合うわけではありません(厚生労働省「更年期世代の女性の健康支援に関する学習資材」)。
Q. ホルモン補充療法を受けていますが、太ったのはその影響でしょうか?
当薬局はその判断をする立場にありません。治療の効果や副作用については、処方している主治医にご確認ください。厚生労働省の学習資材は、ホルモン補充療法について期待される効果として更年期障害の軽減・骨折の予防・脂質代謝の改善などを挙げていますが、当薬局が個別の治療の評価を行うことはできません。漢方の相談は、治療を続けたまま並行して受けていただけます。
Q. 市販の漢方を試しましたが、しっくりきません。なぜでしょうか?
市販の漢方薬は、特定のタイプに合わせて作られています。更年期の体重増加では複数のタイプの特徴が重なって見えることがあり、そうした場合はひとつの処方が体質の主軸と合わないことがあります。薬剤師が体質を見立てて処方を組み合わせる形をとる方もいらっしゃいます。
Q. 西洋薬を服用中ですが、漢方は併用できますか?
お薬手帳を拝見して確認します。甘草(カンゾウ)を含む漢方では、まれに偽アルドステロン症(低カリウム血症・血圧上昇・むくみ)が起こることがあります。厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」は、高血圧症や心不全に対してチアジド系降圧利尿薬やループ利尿薬が投与されている場合、糖尿病に対してインスリンが投与されている場合に「低カリウム血症を生じやすく、重篤化しやすいので、注意が必要である」としています。同マニュアルはこのほか、副腎皮質ステロイド・甲状腺ホルモン薬・経口避妊薬・アスピリン・イブプロフェンなども低カリウム血症を惹起しうるとして、併用時の注意を挙げています。初期症状としては「手足のしびれ、つっぱり感、こわばり」「徐々に進行する四肢の脱力や筋肉痛」が挙げられています。服用中のお薬は必ずお知らせください。
Q. 予約方法とキャンセルについて教えてください。
LINE・お電話・Web予約から承ります。ご予約の変更やキャンセルが必要になった場合は、分かった時点でLINEまたはお電話でご連絡ください。
Q. 女性の悩みを男性薬剤師に話しづらいのですが。
ご相談者の9割が女性です。ご予約時に「女性スタッフを希望」とお伝えいただければ調整いたします。
本記事は東洋医学・漢方に関する一般的な解説であり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。漢方の体感には個人差があります。妊娠中・授乳中の方、医療機関で治療中の方、慢性疾患をお持ちの方は、必ず事前に薬剤師にご相談ください。甘草(カンゾウ)を含む漢方では、まれに偽アルドステロン症(低カリウム血症・血圧上昇・むくみ)が起こることがあります。厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」は、チアジド系降圧利尿薬・ループ利尿薬やインスリンが使われている場合に低カリウム血症を生じやすいとし、副腎皮質ステロイド・甲状腺ホルモン薬・経口避妊薬・アスピリン・イブプロフェンなども低カリウム血症を惹起しうるとしています。服用中のお薬は事前にお知らせください。気になる症状がある場合は、医療機関の受診を優先してください。