春のPMS悪化と漢方|肝鬱・瘀血・気血両虚を体質別に見立てる薬剤師の処方指針

春のPMS悪化と漢方|肝鬱・瘀血・気血両虚を体質別に見立てる薬剤師の処方指針
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春のPMS悪化と漢方
肝鬱・瘀血・気血両虚を体質別に見立てる薬剤師の処方指針

春の窓辺で生理痛に悩む女性のイメージ

「4月に入ってから、生理前のつらさが急に重くなった」「イライラと泣きたい気分が交互に来る」「下腹部の重さと頭痛で仕事が手につかない」。

この時期、30〜40代の女性から PMS(生理前症候群)に関するご相談がぐっと増えます。

春のPMS悪化は、偶然ではありません。新年度の緊張、寒暖差、花粉、ホルモンの揺らぎが重なり、気と血の巡りが同時に乱れる季節。漢方の視点では、春は「肝(かん)」という臓がもっとも活発になる時期で、感情とホルモンを司る肝が乱れると、PMSの症状が一気に前に出てきます。

しかも、PMS のご相談で来られる方の多くが、将来の妊娠や妊活を視野に入れています。PMS と妊活は、実は同じ体質の軸でつながっているのです。

監修

柳澤 謙行(やなざわ けんこう)/銀座漢方天風堂薬局 薬剤師
薬剤師歴45年以上。前職を含めのべ数万件の漢方相談に従事。中医学理論に基づく体質の見立てと煎じ薬の提案を得意とし、婦人科・妊活・自律神経・胃腸の領域で実績多数。

この記事でわかること

  • なぜ春になるとPMSが悪化するのかを平易に理解できる
  • 自分がどの体質タイプに当てはまるかをセルフチェックできる
  • 今日から始められる養生法がわかる
  • PMSと妊活がなぜ同じ体質軸でつながるかがわかる

なぜ春になるとPMSが悪化するのか

春のPMS悪化には、3つの背景が重なります。

1. 「肝」の高ぶりと気の滞り——漢方では、春は肝がもっとも活発になる季節。肝は気の巡りを整え、感情とホルモンを調整する役割を担います。ストレスが重なると気が滞り、イライラ・涙もろさ・胸のつかえとして表面化します。

2. 寒暖差による血流の乱れ——4月は日中と朝晩の気温差が大きく、自律神経が疲弊します。自律神経の乱れは骨盤内の血流を低下させ、生理痛や下腹部痛を悪化させます。

3. ホルモンの揺らぎ——春はエストロゲンとプロゲステロンのバランスが不安定になりやすく、もともと PMS 傾向の方ほど症状が強く出ます。

漢方の視点では、春の PMS 悪化を 「肝気鬱結(かんきうっけつ)」=気の滞り、「瘀血(おけつ)」=血流停滞、「気血両虚」=エネルギー不足の3つの体質軸で見立てます。単純な生理前の不調ではなく、体質からのサインとして受け止めることが大切です。

7つのサインでセルフチェック

生理前の体調記録ノートと温かいお茶

以下のうち4つ以上が連続する3周期以上当てはまる方は、体質の見立てを受ける時期に来ています。

  • □ 生理1週間前からイライラ・涙もろさが強くなる
  • □ 胸の張り・乳房の痛みが強い、ため息が増える
  • □ 生理痛が重く、鎮痛薬が手放せない
  • □ 経血に塊が混じる、色が暗い
  • □ 頭痛・下腹部痛・腰痛がセットで出る
  • □ 生理前にむくみ・体重増加がある
  • □ 生理周期が乱れがち、基礎体温が不安定

あなたはどのタイプ? 4つの体質別アプローチ

体質タイプ別の生薬を盛り付けた器

同じ「PMS」でも、根っこの体質は人それぞれ。当薬局では、4つのタイプに分けて見立てます。

① ストレス過多タイプ(肝気鬱結)

生理前のイライラ・涙もろさ・胸の張りが強い、ため息が多い、頭痛を伴う。気の巡りが滞っているタイプで、春にもっとも増えます。

代表処方:加味逍遙散、抑肝散加陳皮半夏、四逆散、柴胡疎肝湯など。当薬局ではストレスの出方と胸の張り・乳房の痛みの程度をうかがい、もっとも合う処方を見立てます。

② 血流停滞タイプ(瘀血)

生理痛が重い、経血に塊が混じる、色が暗い、頭痛や肩こりを伴う、舌の裏の静脈が太くて紫っぽい。血の巡りが滞っているタイプで、PMSの根が深い方に多く見られます。

代表処方:桂枝茯苓丸、桃核承気湯、通導散、血府逐瘀湯など。瘀血の出方(生理痛の強さ・経血の色・舌)をうかがい、流す方向の処方を見立てます。

③ エネルギー切れタイプ(気血両虚)

生理前後に疲労・めまい・立ちくらみが強い、顔色が冴えない、睡眠の質が落ちる、食欲にムラ。栄養を運ぶ気と血が両方足りていないタイプで、妊活世代に多く、妊娠の土台にも影響します。

代表処方:十全大補湯、人参養栄湯、加味帰脾湯、当帰芍薬散など。疲労の出方と食欲・睡眠をうかがい、補いながら巡りも整える方向の処方を見立てます。

④ むくみ・体重変動タイプ(脾虚痰湿)

生理前にむくみ・体重増加・甘いもの欲求が強い、胃腸が弱い、疲れやすい。水分代謝が低下し、余分な湿が溜まるタイプ。

代表処方:当帰芍薬散、苓桂朮甘湯、五苓散、六君子湯など。むくみの場所と食欲のパターンをうかがい、巡らせながら胃腸を補う方向の処方を見立てます。

今日から始められる養生法

温かいハーブティーと生理周期を記録するノート

気と血を整える4つの習慣

  1. 基礎体温と周期を記録。体質の変化を見える化し、ご相談時にも役立ちます
  2. 下腹部・腰・足元を温める。入浴は38〜40度の湯船に10分、生理1週間前からはお腹と腰に温湿布を
  3. 鉄分・たんぱく質を意識。レバー・赤身肉・黒豆・ほうれん草・なつめ・クコの実など「血を補う食材」を毎日1品
  4. 夜10時〜深夜2時に眠る。この時間帯の睡眠が肝と血を養います。スマホを寝室に持ち込まない

ツボケアで気滞と瘀血をほどく

当薬局でもおすすめしている、PMSに使いやすいツボを3つご紹介します。深呼吸をしながら、親指または人差し指で3〜5秒ずつ、じんわり押しましょう。

  • 三陰交(さんいんこう):内くるぶしから指4本分上、すねの骨の後ろ。婦人科の要穴で、冷え・生理痛・むくみに幅広く使われます
  • 太衝(たいしょう):足の甲、親指と人差し指の骨が合わさる手前のくぼみ。気滞と肝の高ぶりをしずめ、イライラ・胸の張りに
  • 血海(けっかい):膝の内側、お皿の上の角から指3本分上。瘀血を流すツボで、生理痛・経血の塊・肌荒れに

PMSの裏にある「妊活の土台」

PMS のご相談で当薬局にいらっしゃる30代後半〜40代の方の多くが、実はご自身が 「妊活の土台づくり」のタイミングにいることに気づいていません。

PMSの根にある 肝気鬱結(気滞)・瘀血・気血両虚 は、漢方の視点ではそのまま妊娠しづらい体質と重なります。気が滞って排卵のリズムが乱れ、瘀血で子宮や卵巣への血流が落ち、気血両虚で受精卵を育てる土台が弱る——このどれもが、PMS の症状として先に表面化しているのです。

当薬局では、この時期の女性に「PMS を整えることは、妊活の土台を整えることと同じです」とお伝えしています。PMS の症状を鎮痛薬で抑えるだけではなく、根本の体質から整えることで、数年後の妊娠に向けた地盤ができていきます(個人差があります)。

今すぐ妊活を始める方も、数年後を視野に入れる方も、PMS のサインは体質からのお知らせ。受け止めて整えていく方向に動くことで、生理周期・基礎体温・心身のリズムが安定し、妊娠しやすい体に近づいていきます。

当薬局のアプローチ

銀座漢方天風堂の相談カウンター

当薬局でお渡しするのは、煎じ薬だけではありません。

まずは初回60分のカウンセリングで、あなたの体調・生活リズム・食習慣・運動量・ストレスの出方・睡眠の質・生理周期・基礎体温までをじっくりうかがいます。お話の中から体質の軸を見立て、200種類を超える古典処方の中からあなたに合うものを選び、厳選した生薬を土鍋で丁寧に煎じてお渡しする——これが銀座漢方天風堂が50年近く磨いてきた強みです。

そのうえで、漢方だけに頼らず、養生生活の指導・食事の整え方・体の動かし方・呼吸法・日常で押せるツボまで、体質に合わせてお伝えします。時にはお仕事やご家族、妊活のお悩みなど、人生のご相談に耳を傾けることも少なくありません。漢方は「薬を飲んで終わり」ではなく、日々の暮らしの中で体質を整えていくもの。あなたの毎日に寄り添い続けます。

春のPMSのように気滞・瘀血・血虚・ホルモン変動が重なる不調では、煎じ薬と生活指導を組み合わせたアプローチが力を発揮します。月経周期ごとに体質の変化をうかがい、次回以降も処方と養生を見直すことができます。

症状が軽い場合や忙しくて煎じる時間がない場合には、手軽な「エキス剤」(粉薬・錠剤・顆粒)も状況に応じて併用します。

煎じ薬とエキス剤、向き・不向き

比較項目 エキス剤(粉薬・錠剤・顆粒) 煎じ薬
処方の選択肢 ラインナップの中から 200種類超の古典処方から見立てる
複合体質への対応 単一症状向き 気滞+瘀血+血虚等の複合に対応
相談・見立て 基本なし 薬剤師が初回60分対面で
経過の見直し 購入者の自己判断 月経周期ごとに処方を見直し可
向く方 軽症・短期・急ぎの不調 慢性化・妊活視野・複数体質が絡む不調

まとめ

春のPMS悪化は、肝の高ぶり・寒暖差による血流の乱れ・ホルモンの揺らぎが重なる現代女性特有の季節病です。

まずは4つの体質タイプのどこに自分がいるか当たりをつけて、今日からの養生を始めてみてください。鎮痛薬だけでしのいでいる方、年々PMSが重くなっている方、将来の妊娠が気になる方は、一人で抱え込まず専門家への相談も選択肢です。

当薬局では、薬剤師歴45年以上の柳澤が初回60分じっくりお話をうかがい、あなたに合う処方を見立ててご提案します(個人差があります)。

よくあるご質問

Q1 春になるとPMSが悪化するのはなぜですか?
A1 春は気の巡りを司る「肝」がもっとも活発になる季節で、環境ストレスや寒暖差が重なると気滞や血流停滞が起きやすくなります。女性ホルモンの揺らぎとも連動し、PMSの症状が表面化します。個人差があります。
Q2 鎮痛薬を飲み続けることに不安があります。漢方は併用できますか?
A2 多くの場合、鎮痛薬と漢方薬は併用可能です。ただし体質によって適応が異なりますので、ご相談時に現在のお薬をお伝えください。体質から整えていくと、鎮痛薬に頼る頻度が減ってくる方が多いです(個人差があります)。
Q3 妊活中でもPMSの漢方相談を受けられますか?
A3 妊活とPMSは同じ体質の軸でつながることが多く、当薬局では妊活世代のPMSを特に丁寧にお見立てします。生理周期・基礎体温・冷えの出方までうかがい、妊活の土台を整える方向で処方を見立てます。

免責事項

本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。記載の漢方薬は体質により適応が異なり、効果には個人差があります。現在治療中の病気がある方、妊娠中・授乳中の方、ほかの薬を服用中の方は、ご相談時に必ずお伝えください。強い症状・急激な変化がある場合は、まず医療機関を受診してください。

銀座漢方天風堂薬局

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※養生の感じ方や漢方の効果には個人差があります。妊娠中・授乳中の方、持病をお持ちの方、お薬を服用中の方は事前にお申し出ください。

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