不妊治療と漢方は併用できる?クリニック治療をサポートする漢方の役割を薬剤師が解説

不妊治療と漢方は併用できる?
クリニック治療をサポートする漢方の役割を薬剤師が解説

監修

柳澤 謙行(やなざわ けんこう)

銀座漢方天風堂薬局 薬剤師

漢方医学とエビデンスに基づく視点で、患者様一人ひとりの体質に合わせた漢方カウンセリングを行っています。不妊治療クリニックとの連携経験も豊富です。

「クリニックで不妊治療を受けているけれど、漢方も取り入れてみたい」

当薬局にご相談にいらっしゃる方の中で、こうしたお声はとても多いです。体外受精や人工授精を続けているものの結果が出ず、体の土台から見直したいと考える方が増えています。

結論から申し上げると、不妊治療と漢方の併用は多くの場合可能です。実際に、不妊治療専門クリニックでも漢方を処方するケースは増えてきました。

この記事では、不妊治療と漢方を併用する際の考え方、治療段階ごとのアプローチ、注意点をお伝えします。

この記事でわかること

・不妊治療と漢方を併用するメリットと注意点
・タイミング法・人工授精・体外受精、各段階での漢方の役割
・漢方が「卵子の質」や「子宮内膜」にアプローチする仕組み
・漢方を始める適切なタイミングと費用の目安
・クリニックの先生に漢方のことを伝えるコツ

不妊治療と漢方の併用が注目される背景

不妊治療は年々進歩していますが、それでも「なかなか結果が出ない」と感じている方は少なくありません。

日本産科婦人科学会の報告では、体外受精の1回あたりの妊娠率は年齢によって大きく異なります。クリニックでの治療だけでなく、体の状態を底上げしたいと考える方が増えているのは自然な流れです。

西洋医学と東洋医学、それぞれの得意分野

項目 西洋医学(クリニック治療) 東洋医学(漢方)
アプローチ 排卵誘発、受精・移植など
直接的な介入
体質改善を通じた
妊娠しやすい体づくり
得意な領域 器質的な問題への対応
(卵管閉塞、男性因子など)
冷え・血行不良・ホルモンバランス
ストレスによる自律神経の乱れ
時間軸 周期単位の短期的な治療 2〜6ヶ月かけて体質を整える
カバー範囲 生殖器に特化 全身の状態を底上げ

どちらが優れているという話ではありません。それぞれの得意分野を活かし、組み合わせることで相乗的な働きにつながる可能性があります

不妊治療との併用について相談したい方へ

当薬局では、クリニック治療中の方のご相談を多数お受けしています

治療段階別|漢方が果たす役割

不妊治療にはいくつかのステップがあり、漢方が担う役割も段階によって変わります。

STEP 1 タイミング法
STEP 2 人工授精
STEP 3 体外受精
STEP 4 移植・着床

タイミング法・人工授精の段階

この段階では、まだ体への医療的介入は比較的少なく、漢方が力を発揮しやすい時期です。

漢方医学では、月経周期は「気・血・水」のバランスで維持されると考えます。冷えや血行不良があると排卵のリズムが乱れやすくなるため、体質に応じて以下のようなアプローチを取ります。

体の状態 漢方の方向性 代表的な処方例
冷えが強い・顔色が白い 温めて血を補う 当帰芍薬散など
月経痛が強い・経血に塊がある 血の巡りを改善する 桂枝茯苓丸など
ストレスで周期が乱れる 気の巡りを整える 加味逍遙散など
疲れやすい・食欲がない 消化機能を高め気を補う 補中益気湯など

ポイント

漢方薬の処方は「病名」ではなく「体質」に基づいて決まります。同じ不妊でも、冷えが原因の方と血行不良が原因の方では飲む漢方が異なります。必ず専門家に体質を見てもらうことが大切です。

体外受精(採卵〜移植)の段階

体外受精の段階では、クリニックでの投薬も増えるため、漢方との組み合わせにはより慎重な配慮が必要です。

学術報告では、体外受精の各段階に合わせた漢方薬の投与で良好な結果が得られたケースが報告されています。

治療段階 漢方の目的 期待される作用
採卵前 卵巣への血流改善
卵胞の発育をサポート
卵子の質のサポート
卵胞発育の環境づくり
採卵後〜移植前 子宮内膜の状態を整える 内膜の厚さ・血流の改善
移植後 着床をサポートする環境づくり 安胎の考え方に基づくサポート

注意

体外受精の周期中は、必ず担当医に漢方の服用を報告してください。排卵誘発剤やホルモン剤と漢方の相互作用を確認する必要があります。当薬局では、クリニックの治療スケジュールに合わせた処方調整を行っています。

漢方が不妊にアプローチする3つの柱

漢方医学では、妊娠に必要な体の力を3つの柱で考えます。

1 腎を補う 生殖機能の根幹。
年齢とともに衰える
「腎精」を補います。
2 血を巡らせる 子宮・卵巣への血流を
改善し、内膜の状態を
整えます。
3 気を整える ストレスや自律神経の乱れ
を調整し、ホルモンバランス
を支えます。

この3つの柱は、先ほどの治療段階すべてに共通する基本的な考え方です。体質によってどの柱を重点的に補うかが変わります。

「卵子の質」と漢方の関係

「卵子の老化」という言葉を耳にしたことがある方も多いと思います。年齢とともに卵子の質が変化するのは事実ですが、漢方医学では「腎」の働きを補うことで、卵巣機能をサポートできると考えます。

具体的には、腎を補う漢方(補腎薬)によって卵巣への血流を改善し、卵胞が十分に発育する環境を整えることを目指します。

「子宮内膜」と漢方の関係

移植の際、子宮内膜の厚さや血流は着床率に影響します。漢方では「瘀血(おけつ)」と呼ばれる血の滞りを改善することで、子宮内膜の状態を整えるアプローチを取ります。

冷えが強い方、月経痛がひどい方は、子宮周辺の血流が滞っている可能性があります。温める作用のある漢方と、血の巡りを改善する漢方を組み合わせるケースが多いです。

漢方を始めるタイミングと費用の目安

いつから始めるのがいい?

体質改善には一定の時間が必要です。理想的には、不妊治療を本格的に始める2〜3ヶ月前から漢方を取り入れるのが望ましいです。

もちろん、治療中からでも遅くはありません。「次の採卵に向けて体を整えたい」「移植前に冷えを改善したい」といったタイミングでのご相談も多くいただいています。

項目 目安
体質改善の実感まで 2〜3ヶ月
基礎体温の変化 3〜6ヶ月
推奨継続期間 6ヶ月〜1年
煎じ薬の費用 月2〜5万円程度
初回相談 当薬局は無料

クリニックの先生に伝えるコツ

「漢方を飲んでいることを先生に伝えにくい」という声をいただくことがあります。伝え方のポイントをお伝えします。

担当医への伝え方

1. 処方名を正確に伝える
「漢方を飲んでいます」ではなく「当帰芍薬散を1日3回飲んでいます」のように具体的に伝えましょう。

2. 漢方薬局の連絡先を共有する
当薬局から処方内容の書面をお渡しすることも可能です。

3. 治療スケジュールを共有する
採卵や移植のスケジュールを漢方薬局にも伝えていただくと、処方の微調整ができます。

こんな方に漢方の併用をおすすめしています

当てはまるものはありますか?

3つ以上当てはまる方は、漢方で体の土台を整えることが治療のサポートになる可能性があります。まずはご相談ください。

よくあるご質問

不妊治療中に漢方を飲んでも大丈夫ですか?
多くの場合、併用は可能です。ただし服用中の薬との相互作用を確認する必要がありますので、必ず担当医と漢方の専門家の両方にご相談ください。当薬局では、クリニックの処方を確認した上で漢方を選びます。
漢方を始めるタイミングはいつがいいですか?
体質改善には時間がかかるため、不妊治療の開始前から始めるのが理想です。治療中からでも遅くはありませんが、できれば2〜3ヶ月前からの服用が望ましいです。「次の採卵に向けて」というタイミングでのご相談も歓迎しています。
漢方で卵子の質は改善しますか?
漢方医学では「腎」が生殖機能を司ると考えます。補腎薬などで体の土台を整えることで、卵巣への血流改善や卵胞の発育をサポートすることが期待されています。卵子そのものを若返らせるわけではありませんが、卵胞が育つ環境を整えるという考え方です。
漢方の費用はどのくらいですか?
煎じ薬の場合は月2〜5万円程度が目安です。体質や処方内容により異なります。当薬局では初回のご相談は無料で承っていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
体外受精の採卵周期でも漢方は飲めますか?
採卵周期でも服用可能な漢方はあります。ただし、使用する薬剤との相互作用を避けるため、必ず担当医にご確認ください。当薬局でもクリニックとの連携を考慮した処方調整を行います。

不妊治療と漢方の併用について
まずはお気軽にご相談ください

銀座漢方天風堂薬局では、クリニック治療中の方のご相談を数多く承っています。
あなたの体質と治療状況に合わせた漢方をご提案します。

よくある質問(FAQ)

Q. 妊活に漢方は有効ですか?

東洋医学では「腎」「血」「気」のバランスを整えることで妊娠しやすい体づくりを目指します。不妊治療との併用も可能で、体質改善として多くの方にご利用いただいています。

Q. 妊活漢方はどれくらい続ければよいですか?

体質改善には一般的に3〜6ヶ月程度の継続が目安です。基礎体温の変化や体調の改善を見ながら、薬剤師と相談して調整していきます。

Q. 病院の不妊治療と漢方は併用できますか?

多くの場合、併用は可能です。現在の治療内容をお伝えいただければ、それに合わせた漢方をご提案いたします。主治医にもご相談されることをお勧めします。

※本記事は東洋医学の考え方を情報として提供するものであり、特定の効果・効能を保証するものではありません。漢方薬の服用にあたっては、必ず専門の薬剤師にご相談ください。体調に不安のある方は医療機関への受診をお勧めします。個人差があります。

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