【年齢別】妊活に使われる漢方の選び方|30代・40代で変わるアプローチを薬剤師が解説

【年齢別】妊活に使われる漢方の選び方|30代・40代で変わるアプローチを薬剤師が解説

【監修者情報】

柳澤 謙行(やなざわ けんこう)

銀座漢方天風堂薬局 薬剤師

銀座漢方天風堂薬局の薬剤師として、漢方医学とエビデンスに基づく視点で患者様一人ひとりの体質に合わせた漢方カウンセリングを行っています。

当薬局に妊活のご相談でいらっしゃる方の中で、よくいただくのが「自分の年齢に合った漢方はどれですか?」というご質問です。30代と40代では体の状態が違いますから、漢方のアプローチも変わります。

漢方医学では、女性の体は年齢とともに変化し、妊活で重視すべきポイントも年代ごとに異なります

この記事では、漢方の「7年周期」理論をもとに、20代・30代・40代それぞれの妊活漢方アプローチを解説いたします。ご自身の年代に合った項目からお読みください。

この記事でわかること

・漢方医学の「7年周期」理論と妊娠力の関係
・20代の妊活で重視される気の巡りの整え方
・30代の妊活漢方で大切な血虚・瘀血へのアプローチ
・40代の不妊漢方で最重要となる「補腎」の考え方
・年齢を問わず実践できる3つの養生法

20代 気の巡りを整える
30代 血を補い巡らせる
40代 腎の力を補う

1. 漢方医学が考える「妊娠力」と年齢の関係(7年周期理論)

東洋医学の古典『黄帝内経(こうていだいけい)』には、女性の体は7年ごとに節目を迎えるという考え方が記されています。この理論に沿った体の変化を表にまとめました。

年齢 体の変化
14歳(7×2) 初潮を迎え、妊娠が可能になる時期
21歳(7×3) 腎気が充実し、体が最も成熟する時期
28歳(7×4) 筋骨が最も強くなるピーク
35歳(7×5)※節目 陽明の脈が衰え始め、肌や髪に変化が現れる
42歳(7×6) 三陽の脈が衰え、白髪が増え始める
49歳(7×7) 腎気が衰え、閉経を迎える

漢方の「腎」とは?

漢方医学でいう「腎」は、西洋医学の腎臓とは異なります。成長・発育・生殖・老化をつかさどる生命エネルギーの源であり、妊活においてはこの「腎」の力が非常に重要です。

この7年周期理論に基づくと、35歳を境に腎気の衰えが始まります。だからこそ、年齢に応じた漢方アプローチが大切です。

▼ 年齢と漢方アプローチの全体像

腎気の充実度

20代
28歳
ピーク
35歳
節目
40代
49歳
20歳28歳35歳42歳49歳
20代=気の巡り 30代=血を補う 40代=腎を補う

2. 【20代】気の巡りを整えることが中心

20代は本来、腎気が最も充実している時期です。

この年代で妊娠しにくい場合、ストレスや不規則な生活習慣による「気滞(きたい)」が関わっていることが多いです。気の巡りが滞ると、月経周期の乱れや排卵障害につながる場合があります。

20代に見られやすい体質パターン

気滞タイプ

ストレスや過度なダイエットで気の巡りが滞り、生理不順やPMSを伴いやすい

痰湿タイプ

冷たいものの摂りすぎや運動不足で余分な水分が溜まり、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)との関連も指摘されている

20代で用いられることがある漢方薬

加味逍遙散(かみしょうようさん)は、気滞によるイライラや生理不順に広く用いられる処方です。当薬局でも20代の方にお出しすることが多い漢方のひとつです。

温経湯(うんけいとう)は、手足のほてりや唇の乾燥を伴う月経不順に向いています。冷えとほてりが混在するタイプの方に処方することがあります。

PMS(月経前症候群)にお悩みの方は、あわせてこちらの記事もご参照ください。

PMS(月経前症候群)に使われる漢方の体質別アプローチ

3. 【30代】血を補い、冷えと瘀血にアプローチ

30代は仕事や育児のストレスが重なり、「血虚(けっきょ)」や「瘀血(おけつ)」が生じやすい時期です。実際にご相談に来られる30代の方は、複数のタイプが重なっているケースがほとんどです。

特に35歳は7年周期理論における大きな節目です。35歳を過ぎると「陽明の脈が衰え始める」とされ、それまで以上に血を補い、巡りを良くするケアが重要になります。

30代に見られやすい体質パターン

血虚タイプ

血が不足し、子宮や卵巣に十分な栄養が届きにくい状態。顔色の悪さ、爪の割れやすさ、経血量の減少を伴うことがある

瘀血タイプ

血の巡りが悪く、子宮内膜症や筋腫との関連がある。生理痛がひどい、経血にレバー状の塊が混じるなどが特徴的

30代で用いられることがある漢方薬

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、血虚や水滞による婦人科系の不調に広く用いられる代表的な処方です。血を補いながら余分な水分を巡らせる方向で整えます。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は瘀血の代表処方です。血の巡りを良くし、骨盤内の血流を改善する目的で用います。

30代の食養生ワンポイント

「血」を補う食材を積極的に取り入れましょう。黒ごま・黒豆・なつめ・クコの実・レバー・ほうれん草などが代表的です。下半身の冷え対策として、腹巻きやレッグウォーマーの活用もおすすめです。

自分の体質に合った漢方を知りたい方へ

お一人おひとりの年齢・体質に合わせて、薬剤師が丁寧にご提案いたします。

4. 【40代】腎の力を補うことが最重要

40代は東洋医学的に「腎気」が自然と衰え始める時期です。この年代の不妊には「腎虚(じんきょ)」が深く関わっており、腎の力を補う「補腎」が最重要テーマになります。

当薬局でも40代の方には、まず腎の状態を確認するところから始めます。

40代に見られやすい体質パターン

腎陽虚タイプ

体を温める力が低下し、冷え性・腰痛・頻尿・むくみを伴いやすい。卵巣機能の低下との関連がある

腎陰虚タイプ

潤いが不足し、のぼせ・寝汗・口の渇きを伴う。卵子の質の低下との関連が指摘されている

40代で用いられることがある漢方薬

八味地黄丸(はちみじおうがん)は腎陽虚の基本処方です。体を温めて腎の力を補います。冷えが強い方に向いています。

六味丸(ろくみがん)は腎陰虚の基本処方で、潤いを補いながらほてりや寝汗の改善を目指します。

参茸補血丸(さんじょうほけつがん)は腎精を補い、体力・気力の回復に用いることがあります。疲労感の強い方に処方する場合が多いです。

不妊と漢方の基本的な考え方については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

不妊と漢方|体質タイプ別に見る4つの原因と対策【薬剤師が解説】

かんたん体質チェック ― あなたはどのタイプ?

当てはまる項目が多いタイプが、あなたの体質傾向かもしれません。

気滞タイプ(20代に多い)

▢ イライラしやすい、ため息が多い
▢ 生理前に胸が張る・お腹が張る
▢ 生理周期が不安定
▢ ストレスで食欲が変動する

血虚・瘀血タイプ(30代に多い)

▢ 顔色が悪い・唇の色が暗い
▢ 爪が割れやすい・髪がパサつく
▢ 経血量が少ない、またはレバー状の塊がある
▢ 冷え性で生理痛がつらい

腎虚タイプ(40代に多い)

▢ 腰がだるい・足腰に力が入りにくい
▢ 夜中にトイレに起きる
▢ のぼせや寝汗がある
▢ 経血量が明らかに減った

※あくまで参考です。正確な体質判断は漢方の専門家にご相談ください。

年齢別:体質パターンと漢方薬の比較

年代 主な体質 代表的な漢方薬 養生のポイント
20代 気滞
痰湿
加味逍遙散
温経湯
ストレス発散
規則正しい生活
柑橘類・しそ
30代 血虚
瘀血
当帰芍薬散
桂枝茯苓丸
血を補う食材
下半身の冷え対策
黒ごま・なつめ
40代 腎陽虚
腎陰虚
八味地黄丸
六味丸
参茸補血丸
夜更かし厳禁
黒い食材
山芋・くるみ・エビ

※漢方薬の選択は体質によって異なります。上記は一般的な傾向です。

5. 年齢を問わず大切な3つの養生

どの年代であっても、以下の3つは妊活の土台です。漢方薬だけでなく、日々の養生を整えることが体づくりの基本になります。

(1)温める

子宮や卵巣は冷えに弱い臓器です。腹部と下半身を中心に温め、シャワーではなく湯船に浸かる習慣を心がけましょう。

(2)巡らせる

気・血・水の巡りを良くすることが大切です。ウォーキングやヨガなど適度な運動と、ストレスを溜めない生活を意識しましょう。

(3)補う

質の良い睡眠とバランスの良い食事で、気血を補充しましょう。腎のエネルギーは夜に回復します。特に23時までの就寝が大切です。

6. よくある質問(FAQ)

Q 妊活で漢方を始めるのに、年齢の上限はありますか?
A 漢方に年齢の上限はありません。40代以降でも、体質に合った漢方薬を選ぶことで体調を整えていくことが期待できます。ただし年齢が上がるほど「補腎」の重要度が増しますので、専門家への相談をおすすめいたします。
Q 病院の不妊治療と漢方は併用できますか?
A 多くの場合、併用は可能です。当薬局でも病院の治療と並行して漢方を服用されている方は多くいらっしゃいます。ただし飲み合わせの問題がある場合もありますので、必ず主治医と漢方の専門家の双方にご相談ください。
Q 漢方薬はどのくらいの期間飲み続ける必要がありますか?
A 体質や症状によって個人差がありますが、一般的には3か月〜6か月が目安です。漢方医学では「月経周期を3回ほど見て判断する」という考え方もあります。月経周期の変化を確認しながら、処方を調整していきます。
Q 35歳から妊活を始めるのは遅いですか?
A 決して遅くありません。漢方の7年周期では35歳は変化の節目ですが、体質に合った養生と漢方薬を取り入れることで、体のコンディションを整えていくことが期待できます。焦らず、ご自身の体と向き合うことが大切です。
Q 妊活で漢方はいつから始めるのが良いですか?
A 妊活を意識し始めた時が、漢方を始めるタイミングです。体質改善には一般的に3〜6ヶ月程度かかるため、早めのスタートが望ましいです。まずは漢方の専門家にご相談いただき、ご自身の体質に合ったアプローチを見つけていきましょう。お二人でのご相談も歓迎しています。

あなたの年齢・体質に合った漢方を
薬剤師と一緒に見つけませんか?

銀座漢方天風堂薬局では、一人ひとりの体質に合わせた漢方カウンセリングを行っています。
お二人でのご相談も歓迎しています。

営業時間:10:00〜19:00(日曜・祝日定休)

※本記事は銀座漢方天風堂薬局が監修しています。

※漢方薬の効果には個人差があります。服用の際は漢方専門の医師・薬剤師にご相談ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療の代わりにはなりません。

※特定の漢方薬の効能効果を保証するものではありません。

よくある質問(FAQ)

Q. 漢方相談は予約が必要ですか?

ご予約をお勧めしています。初回は30〜60分ほどかけて丁寧にカウンセリングを行います。LINE・お電話・Web予約からご予約いただけます。

Q. 漢方薬の費用はどれくらいですか?

体質や症状により処方内容が異なるため費用も変わりますが、おためし2週間コース(9,800円)からお試しいただけます。まずはお気軽にご相談ください。

Q. オンラインでも漢方相談はできますか?

はい。銀座漢方天風堂薬局ではLINEやビデオ通話でのオンライン漢方相談に対応しています。遠方の方もご自宅から気軽にご相談いただけます。

ブログに戻る