銀座漢方天風堂薬局 薬剤師 / 漢方相談歴15年以上
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療行為・個別の処方を行うものではありません。
春のめまい・立ちくらみと漢方
体質別に整える方法を薬剤師が解説
公開日:2026年4月5日 監修:柳澤 謙行(薬剤師)
この記事でわかること
- 春にめまい・立ちくらみが増える漢方的な理由
- めまいの種類(回転性・立ちくらみ・浮動性)と体質の関係
- 体質別おすすめ漢方薬(苓桂朮甘湯・真武湯・半夏白朮天麻湯など)
- 今日からできる食養生と生活習慣の整え方
「春になると急にくらっとする」「朝起き上がるとめまいがする」――そんな声を毎年この時期、当薬局ではよく耳にします。
実は、春はめまい・立ちくらみが増えやすい季節です。気温の激しい変動、新生活のストレス、長時間のデスクワーク。これらが重なると、体のバランスが崩れやすくなります。
漢方では、めまいを「単なる一症状」としてではなく、体全体の気・血・水(き・けつ・すい)のアンバランスが頭部に現れたサインとして捉えます。体質に合った処方と養生法を組み合わせることで、根本から整えていく方向を目指します。
春とめまいの漢方的な関係
漢方の五行説では、春は「肝(かん)」が主役の季節です。肝は気・血の流れをコントロールし、自律神経の働きとも密接に関わっています。
春になると体内の陽気が上昇します。この流れがスムーズであれば問題ありませんが、肝の働きが乱れると気血が頭部に過剰に集まり、めまい・頭痛・のぼせを引き起こしやすくなります。これを漢方では「肝陽上亢(かんようじょうこう)」と呼びます。
一方、冬の疲れが蓄積して気血が不足している方では、春の気温変化についていけず「立ちくらみ」が起きやすくなります。同じ「めまい」でも、原因が全く異なります。
春のめまい発生メカニズム(漢方の視点)
めまいの種類と漢方体質チェック
めまいには大きく3タイプあります。自分がどのタイプに近いかを確認することで、体質を把握する手がかりになります。
体質別おすすめ漢方薬
めまいに用いられる代表的な漢方薬をご紹介します。体質や症状のパターンによって選ぶ処方が異なりますので、ここでは各処方の特徴と、どのような方に向いているかを中心にお伝えします。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
めまいの漢方といえば、まず名前が挙がることが多い処方です。立ち上がったときのめまい、動悸、のぼせを感じるのに手足は冷える「気の上衝」を整える方向で用いられることがあります。水分代謝を改善し、頭部への余分な水の滞りを解消するイメージで活用します。
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
頭が重い・ぼーっとする感じのめまいに用いられることがあります。胃腸が弱く、吐き気・食欲不振を伴うタイプに適する傾向があります。天麻(てんま)という生薬がめまい・頭痛に働きかける方向で配合されています。
真武湯(しんぶとう)
体の冷えが強く、全身の陽気(温める力)が不足している方のめまいに用いられることがあります。足腰の冷え・倦怠感・下痢を伴う方に向く傾向があります。当薬局では高齢の方や産後に体が冷え込んでいる方からご相談いただくことが多い処方です。
天麻鈎藤飲(てんまこうとういん)
ストレスや怒りでめまい・頭痛が悪化するタイプ、血圧が高め・顔がほてりやすい方に用いられることがあります。肝陽上亢(気血が過剰に頭部に集まる状態)を鎮める方向で整えます。
めまい4処方 体質別比較表
| 処方名 | めまいの性質 | 体の状態 | 伴いやすい症状 |
|---|---|---|---|
| 苓桂朮甘湯 | 立ちくらみ・動悸型 | 水滞・気の上衝 | 動悸、のぼせ、冷え |
| 半夏白朮天麻湯 | 頭重感・回転型 | 痰湿・胃腸虚弱 | 吐き気、頭が重い |
| 真武湯 | ふわふわ・倦怠型 | 陽虚・冷え | 冷え、疲労感、下痢 |
| 天麻鈎藤飲 | ストレス・のぼせ型 | 肝陽上亢 | 頭痛、耳鳴り、ほてり |
体質がわからないときは、薬剤師に直接ご相談ください
問診票や体質チェックを通じて、あなたに合った漢方薬をご提案します。お二人でのご相談も歓迎しています。
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当薬局に寄せられるご相談の傾向
ご相談に来られる方の中で、春のめまいで多いのは30〜50代の女性です。月経周期との連動(月経前後にめまいが悪化する)や、デスクワークが続いた後の立ちくらみをきっかけにご来局されるケースが目立ちます。
特に多い声としては「耳鼻科や内科で異常なしと言われたが、しつこく続く」「低気圧の日に決まってめまいが出る」など。こういったケースでは、気血・水のアンバランスが背景にあることが多く、漢方との相性がよい傾向があります。
春のめまい相談 体質別傾向(当薬局 概算)
※当薬局における相談傾向のイメージです。個人差があります。
春のめまい対策の食養生と生活習慣
水滞タイプへの食養生
余分な水分を排出する食材を積極的に取り入れましょう。はと麦・小豆・冬瓜・とうもろこしのひげ茶は水分代謝を促す方向で使われることが多い食材です。塩分の摂りすぎ・冷たい飲食は水滞を悪化させる可能性があるため、控えめにする方向で整えます。
気血両虚タイプへの食養生
気血を補う食材として、レバー・ほうれん草・黒豆・なつめ・クコの実などが知られています。鉄分と一緒にビタミンCを摂ることで吸収が高まることが多いです。食事は3食きちんと摂り、胃腸に負担をかけないよう消化のよいものを選ぶ方向で整えます。
肝陽上亢タイプへの食養生
苦みのある野菜(セロリ・菊花・緑茶)は肝の熱を鎮める方向で使われることがあります。アルコール・辛いもの・カフェインの摂り過ぎは肝に負担をかけやすいため、注意が必要です。深呼吸・軽いウォーキングなどで気の巡りを整える方向が有効なことが多いです。
今日からできる生活習慣のポイント
- 朝の起き上がりはゆっくり。3秒かけて体を起こす
- 水分は一度に大量に飲まず、こまめに温かいものを飲む
- 画面から目を離して1時間に1回は遠くを見る
- 就寝2時間前には入浴を済ませ、深部体温を下げる準備を
- 深呼吸(4秒吸って8秒吐く)を1日3回習慣に
よくあるご質問
| Q. 春にめまいが起きやすいのはなぜですか? |
| A. 漢方では春は「肝」が働く季節で、気血の流れが上昇しやすくなります。気候の激しい変動と重なることで自律神経が乱れ、頭部への血流変動が起こりやすくなる傾向があります。個人差があります。 |
| Q. めまいに使う漢方薬の代表は何ですか? |
| A. 苓桂朮甘湯・真武湯・半夏白朮天麻湯・天麻鈎藤飲などがよく知られています。体質や症状によって選ぶ処方が大きく異なりますので、専門家へのご相談をおすすめします。 |
| Q. 立ちくらみと回転性めまいは漢方で同じ対処をしますか? |
| A. 異なります。立ちくらみは気血両虚・陽虚、回転性めまいは水滞・肝陽上亢として捉えることが多く、それぞれ処方が変わります。症状の性質をお聞かせいただくことが大切です。 |
| Q. 漢方は何日くらいで効果が出ますか? |
| A. 急性のめまいでは数日〜1週間程度で変化を感じる方もいますが、体質改善を目的とする場合は1〜3ヶ月を目安に継続することが多いです。個人差があります。 |
まとめ
春のめまい・立ちくらみは、気血・水のアンバランスが頭部に現れたサインです。漢方では「どのタイプのめまいか」を見極めることが処方選びの起点になります。
- 水分代謝が乱れている水滞タイプ → 苓桂朮甘湯・半夏白朮天麻湯
- 疲れ・冷えが背景の気血虚タイプ → 真武湯・補中益気湯
- ストレス・のぼせが強い肝陽上亢タイプ → 天麻鈎藤飲・釣藤散
自分の体質がわからない場合や、複数のタイプが混在しているケースも少なくありません。当薬局では問診をもとに体質を丁寧に確認し、その方に合った処方と養生法をご提案しています。
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「病院で異常なし」「同じ症状が繰り返す」そんな方にこそ、漢方が力を発揮することがあります。お二人でのご相談も歓迎しています。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾患の診断・治療・予防を目的とするものではありません。漢方薬の効果・効能には個人差があります。既往歴・服用中の薬がある方は、必ず医師・薬剤師にご相談の上でご使用ください。症状が重い場合や急性の場合は、速やかに医療機関を受診してください。
※本記事は東洋医学の考え方を情報として提供するものであり、特定の効果・効能を保証するものではありません。漢方薬の服用にあたっては、必ず専門の薬剤師にご相談ください。体調に不安のある方は医療機関への受診をお勧めします。個人差があります。
