のどのつかえ・梅核気と漢方|検査で異常なしと言われた違和感を4体質で見立てる

のどのつかえ・梅核気と漢方|検査で異常なしと言われた違和感を4体質で見立てる
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のどのつかえ・梅核気と漢方
検査で異常なしと言われた違和感を4体質で見立てる

のどに手を当て違和感を感じる40代の女性

「のどに何かつかえている感じが、もう3か月続いている」「飲み込みづらいわけではないのに、いつも気になる」「耳鼻科でカメラを入れて見てもらったが、異常なしと言われた」「ストレス性ですねと説明されたが、薬は出してもらえなかった」「のどと一緒に胸もつかえる感じがあり、深く息が吸えない」。

ゴールデンウィーク直前のこの時期、当薬局にもっとも増えるご相談のひとつが、こうしたのどのつかえ・違和感です。30〜50代の働く女性が中心で、新年度の人間関係・歓送迎会の連続・部署異動・家族の進学進級と、緊張のピークが一段落した4月後半に「ふっと自分の体に意識が戻った」タイミングで気づく方が多いタイプの不調です。

この症状は、漢方では古くから梅核気(ばいかくき)と呼ばれてきました。約1800年前の中国の古典『金匱要略』に、「婦人、咽中に炙臠あるが如し(のどに炙った肉がついたような感じがある)」と記され、半夏厚朴湯がその第一選択として示されています。現代医学では咽喉頭異常感症あるいはヒステリー球(globus sensation)と呼ばれる病態で、検査では何も異常が出ないにもかかわらず、つかえ感・違和感・飲み込みづらさが続きます。

「気のせいですね」「ストレスですね」で片付けられがちなこの症状は、漢方の視点では気の巡りと水の巡りが胸からのどにかけて同時に滞ったサインです。当薬局では、肝鬱気滞(かんうつきたい)=気の流れが詰まったタイプ、痰湿(たんしつ)=水分代謝が滞ってのどに痰のような感覚が出るタイプ、気鬱化火(きうつかか)=気の詰まりが熱に変わってのぼせを伴うタイプ、気血両虚(きけつりょうきょ)=のどを潤す力そのものが不足したタイプ——の4つの体質軸で見立てます。

監修

柳澤 謙行(やなざわ けんこう)/銀座漢方天風堂薬局 薬剤師
薬剤師歴45年以上。前職を含めのべ数万件の漢方相談に従事。中医学理論に基づく体質の見立てと煎じ薬の提案を得意とし、自律神経・更年期・心身症領域で内科・耳鼻科・心療内科の処方との併用相談も数多く担当。

この記事でわかること

  • 梅核気(咽喉頭異常感症)とは何か、その3つの誘発背景
  • 半夏厚朴湯がなぜ第一選択になるのか、その組み立てがわかる
  • 4体質のどれに自分が当てはまるかセルフチェックできる
  • 柴朴湯・四逆散・加味逍遙散など他処方との使い分けがわかる
  • 耳鼻科・内科・心療内科の処方薬と漢方の安全な併用設計
  • 天突・廉泉・内関・合谷の4つのツボと、毎日の食養生
  • のどのつかえの裏にある更年期・自律神経との接点

なぜGW直前〜5月に「のどのつかえ」相談が増えるのか

飲み込めなかった言葉と冷めたお茶の机

4月後半からゴールデンウィーク直前にかけて、梅核気のご相談が増える背景には、3つの理由が重なっています。

1. 新年度の緊張が一段落するタイミング——4月の前半は誰もが「とにかく走り抜ける」モードで、自分の体の小さな違和感に気づく余裕がありません。連休が見え始める4月後半に、ふっと張り詰めていた気が緩んだとき、のどのつかえ・胸のつかえ・息の浅さといった気の滞りのサインが一気に表に出てきます。「忙しいときは気づかなかったが、落ち着いた途端に気になり始めた」という訴えは、典型的な肝鬱気滞の出方です。

2. 春は「肝」がもっとも高ぶる季節——漢方では春から初夏にかけて、肝が活発に働く季節と捉えます。肝は気の巡りを司り、感情の起伏とも深くつながる臓です。新年度の人間関係・引き継ぎ・歓送迎会の連続で肝はすでに張り詰め、気の流れが胸からのどへと逆向きに突き上げる動きを起こしやすくなります。これが梅核気の中核病態です。

3. 飲み会の連続と寒暖差で「水の巡り」が崩れる——歓送迎会のアルコール・遅い食事・浅い睡眠で脾胃の働きが落ち、体の中で水分代謝が滞ります。この余分な水分が「痰」となって胸からのどに引っかかる感覚を生むのが、漢方の痰湿の見方です。気の詰まりに痰湿が重なると、のどのつかえはより取れにくくなります。

「気のせい」ではない、約1800年前から知られた病態

「のどに何かある気がするのは気のせいですよ」と言われて、納得できないまま帰ってきた——当薬局にお越しになる方の多くが、こうしたご経験をお持ちです。

しかし、この症状は決して新しい不調ではありません。約1800年前、後漢の時代に張仲景がまとめた『金匱要略』婦人雑病脈証并治編には、「婦人、咽中に炙臠あるが如し、半夏厚朴湯これを主る」と明記されています。炙臠(しゃれん)とは「炙った肉のかたまり」のこと。のどに焼いた肉がついたような感じ——という古典の表現は、現代の患者さんが訴える「のどに何かつかえている」「飲み込もうとすると違和感がある」感覚を、見事に言い当てています。

日本ではこの状態を梅核気と呼びます。「梅の種がのどに引っかかったような感覚」という意味で、表現は違っても指している病態は同じです。西洋医学ではこれを咽喉頭異常感症あるいはヒステリー球(globus sensation)と呼び、内視鏡や血液検査で器質的な異常が見つからないことが診断の前提となります。

医療機関の受診が必要な方

のどの違和感が続く場合、まず耳鼻咽喉科で内視鏡(喉頭ファイバー)を受けてください。逆流性食道炎・甲状腺疾患・咽頭腫瘍・食道がんなど、検査で見つけられる病気を除外することが先決です。検査で「異常なし」と確認されたうえで漢方を併用するのが、もっとも安全で効率の良い順序です。飲み込めない・体重減少・血痰・声がれが3週間以上続く場合は、すぐに耳鼻咽喉科または消化器内科をご受診ください。

漢方では梅核気を4体質で見立てる

4体質タイプ別の生薬を盛った4つの小皿

「梅核気=半夏厚朴湯」とパターンで覚えられがちですが、当薬局では同じ「のどのつかえ」でも、根っこの体質を4つに分けて見立てます。同じ処方でも合う方と合わない方がいるのは、この体質軸の違いを見落とすとよく起こります。

① ストレス・気詰まりタイプ(肝鬱気滞)

のどのつかえと同時に胸のつかえ・ため息が増える、緊張する場面で症状が強く出る、休日や安心できる場では軽くなる、月経前後に悪化する、イライラと落ち込みが交互に来る——働く30〜50代女性で、当薬局でもっとも多くお会いするタイプです。気の巡りそのものが胸からのどにかけて滞っている状態です。

代表処方:半夏厚朴湯、四逆散、柴胡疎肝湯、加味逍遙散など。半夏厚朴湯は半夏・厚朴・茯苓・蘇葉・生姜の5味で構成され、気を下ろしつつ詰まりを散らす方向で組み立てられた処方です。甘草を含まないため、長期服用しても偽アルドステロン症のリスクが低く、他の漢方薬と併用しやすいのも大きな特徴です。

② のどに痰がからむタイプ(痰湿)

のどに痰がからんでいる感じが取れない、しょっちゅう咳払いをしてしまう、白いネバついた痰が出ることがある、舌の苔が厚く白い、雨の日や湿度の高い日に悪化する、体が重だるい、胃がチャプチャプする——脾胃の水分代謝が落ち、余分な水分が「痰」として胸とのどに溜まったタイプ。歓送迎会・連日の外食・冷たい飲み物の摂りすぎでこのタイプに傾きます。

代表処方:半夏厚朴湯、二陳湯、温胆湯、苓桂朮甘湯など。気の詰まりよりも「痰」のほうが前面に出るタイプには、半夏厚朴湯に二陳湯系の処方を組み合わせる方向で見立てます。当薬局の煎じ薬では、患者さんの舌の状態と痰の出方を確認しながら、半夏・茯苓・陳皮の配合バランスを調整していきます。

③ のぼせ・口渇を伴うタイプ(気鬱化火)

のどのつかえに加えて、顔のほてり・口の苦み・口の渇き・のどの乾燥感がある、寝つきが悪く夢が多い、便が硬く出にくい、舌が赤く苔が黄色い、月経痛や頭痛を伴う——気の詰まりが長引いて熱に変わったタイプ。更年期前後の方、もともと体力があり熱がこもりやすい方に多く出ます。

代表処方:柴朴湯、加味逍遙散、女神散、温胆湯など。柴朴湯は半夏厚朴湯に小柴胡湯を合わせた処方で、気の詰まりと熱を同時に整える方向で働きます。当薬局では、のどの乾燥感と口の苦みを伴う方には、柴朴湯系の見立てを優先します。

④ のどを潤す力が不足したタイプ(気血両虚)

のどがイガイガする・乾く感じが強い、声がかすれやすい、疲れやすく食欲が細い、顔色が冴えない、髪が抜けやすい、月経量が減ってきた——のどを潤す気血そのものが不足したタイプ。連日の睡眠不足・過労・産後・授乳中・ダイエットの繰り返しなどでこのタイプに傾きます。半夏厚朴湯のような気を散らす処方だけでは、かえって乾燥感が強くなることがあるタイプです。

代表処方:麦門冬湯、滋陰降火湯、補中益気湯、十全大補湯など。気血を補いながら、のどを潤す方向で組み立てます。当薬局では、舌が薄く乾いている方・脈が細く弱い方には、いきなり半夏厚朴湯を出さず、まず気血を補う処方から始めることも多くあります。

症状の出方でわかる体質の傾き

のどのつかえは、その出方と前後の症状で体質の軸が読み取れます。当薬局では初回のカウンセリングで、必ず症状の出る時間帯・状況・舌の状態・睡眠の質を細かくうかがいます。

のどの感じ方・付随症状 傾きやすい体質 代表処方の方向
緊張で悪化、休日に軽くなる、ため息が増える 肝鬱気滞 半夏厚朴湯、四逆散
痰がからむ感じ、咳払いを繰り返す、雨の日に悪化 痰湿 半夏厚朴湯+二陳湯系
のぼせ・口の苦み・寝つきの悪さを伴う 気鬱化火 柴朴湯、加味逍遙散
乾燥・イガイガ・声がれ、疲れやすさを伴う 気血両虚 麦門冬湯、滋陰降火湯
月経前後に悪化、PMSを伴う 肝鬱気滞+瘀血 加味逍遙散、女神散
のぼせ・寝汗・動悸を伴う、更年期前後 気鬱化火+陰虚 柴朴湯、滋陰降火湯

半夏厚朴湯の使いこなしと処方の使い分け

「半夏厚朴湯を1か月飲んだが変わらなかった」というご相談も少なくありません。多くの場合、体質の軸とのズレ・服薬のタイミング・他の処方との組み合わせの3点で見直すと、整い方が大きく変わります。

処方名 向くタイプ 特徴
半夏厚朴湯 肝鬱気滞・痰湿の中間 梅核気の第一選択。甘草不含で長期に向く
柴朴湯 気鬱化火・のぼせを伴う 半夏厚朴湯+小柴胡湯。熱と気詰まりを同時に整える
四逆散 肝鬱気滞・手足の冷えを伴う 気の流れを横方向に通す。胸脇苦満が目印
加味逍遙散 肝鬱+血虚+熱、女性の更年期前後 気・血・熱を同時に整える女性向きの処方
麦門冬湯 乾燥・声がれ・空咳を伴う のどを潤す方向。半夏厚朴湯と真逆の使い方
温胆湯 痰湿+不眠・動悸 痰熱を冷ましながら気を整える

同じ「梅核気」でも、合わせる処方が変わると整う速さがまったく違います。当薬局では、体質の軸が複数絡んでいる方には煎じ薬で2〜3処方の生薬を組み合わせ、あなたの体に合う一剤を仕立てる方向でご提案しています。

7つのサインでセルフチェック

以下のうち3つ以上が今春から続いている方は、単なる「気のせい」ではなく体質の軸からの見立てが必要な時期にきています。

  • □ のどに何かつかえている感じが、3週間以上続いている
  • □ 緊張する場面ではっきり強くなり、リラックスすると軽くなる
  • □ のどと一緒に、胸のつかえ・ため息・息の浅さがある
  • □ 食事を飲み込むこと自体はできるが、唾を飲むと違和感がある
  • □ 月経前1週間に明らかに悪化する
  • □ 耳鼻咽喉科で内視鏡を受け、器質的な異常はないと言われた
  • □ 仕事のストレスや人間関係の悩みが、ここ半年で明らかに増えた

耳鼻科・内科・心療内科の処方と漢方の併用設計

「胃酸を抑える薬を飲んでいるが、のどのつかえだけが取れない」「心療内科で抗不安薬を出してもらっているが、できれば減らしたい」「PPI(プロトンポンプ阻害薬)を3か月飲んだが変化がない」——当薬局でご質問の多い併用相談です。

結論から言うと、多くの場合、半夏厚朴湯は西洋薬と併用可能です。半夏厚朴湯の医療用添付文書には併用禁忌・併用注意の記載がなく、心療内科や耳鼻咽喉科で抗不安薬・SSRI・PPI・睡眠導入剤との併用は実臨床でも広く行われています。

併用の基本設計(当薬局の考え方)

  1. 耳鼻咽喉科の喉頭ファイバー→ 器質的疾患の除外を最優先
  2. 消化器内科のPPI・H2ブロッカー→ 逆流性食道炎が背景にある場合の主治療
  3. 心療内科の抗不安薬・SSRI→ 強い不安症状が併存する場合の支え
  4. 漢方の煎じ薬→ 体質の土台を整えて、必要な薬の量で済むようにする守りの役割
  5. 3か月以上症状が続く方は、必ず耳鼻咽喉科で再度の内視鏡確認を

併用時に気をつけたいこと

  • 半夏厚朴湯は甘草を含まないため、他の漢方薬と併用しても甘草の重複リスクは低い処方ですが、加味逍遙散・補中益気湯など甘草を含む処方と組み合わせる場合は、1日の甘草総量に注意します。一般的に1日2.5gを超えると偽アルドステロン症(低カリウム血症)のリスクが上がります。利尿薬・降圧薬・ステロイド剤を併用中の方は、現在の処方を必ずお伝えください
  • 抗不安薬・SSRI・睡眠導入剤を自己判断で減量・中止しないでください。漢方の役割は西洋薬の置き換えではなく、土台を整えて主治医と相談しながら自然に減らせる体に近づける支えです
  • のどのつかえに加えて、飲み込めない・体重減少・血痰・声がれが3週間以上続く場合は、すぐに耳鼻咽喉科または消化器内科をご受診ください

ご相談時には、現在処方されている西洋薬・市販薬・サプリメントをすべてお伝えください。飲み合わせを確認したうえで、あなたに合う処方を見立てます。

今日から始められる養生法

内関のツボを押す手と温かいハーブティー

のどのつかえを軽くする5つの習慣

  1. 1日3回、3分の腹式呼吸。鼻から4秒吸い、口から8秒かけて吐く。気を下ろす最も基本の養生
  2. 冷たい飲み物・氷を入れた水を控える。痰湿タイプの方は特に、常温〜白湯に切り替えるだけで1〜2週間で違いが出る
  3. 夜の食事は21時までに、量は腹七分目。脾胃の負担を減らすことが、のどの痰を減らす近道
  4. 22時〜2時はできるだけ睡眠に入る。この時間帯は肝の働きが整う時間。寝つきの悪い方は入浴を21時までに済ませる
  5. 感情を言葉にして書き出す。気の詰まりは「言いたいことを飲み込んだ感情」と深くつながる。1日3行のメモでも肝の気が動き始める

ツボケアでのどの「気の詰まり」を散らす

当薬局でもおすすめしている、梅核気に使いやすいツボを4つご紹介します。深呼吸をしながら、人差し指または中指の腹で、ゆっくり3〜5秒ずつ、じんわり押しましょう。

  • 天突(てんとつ):前正中線上、左右の鎖骨が中央で出会う胸骨頚切痕の直上のくぼみ。のどのつかえ・咳・声のかすれに直接働きかける代表ツボ。指の腹で軽く下方向に押すのがコツ
  • 廉泉(れんせん):前正中線上、のどぼとけの上縁中央のくぼみ。のどの違和感・飲み込みづらさに使う。強く押さず、指の腹でやさしく
  • 内関(ないかん):手首内側のしわから指3本分ひじ寄り、2本の腱の間。胸のつかえ・吐き気・動悸・不安感に。乗り物酔いにも使われる定番ツボ
  • 合谷(ごうこく):手の甲、親指と人差し指の骨が合わさる前のくぼみ。気を下ろす万能ツボ。頭痛・肩こり・顔のほてりにも広く使える

※天突・廉泉は強く押すと咳き込みやすい場所なので、あくまで「触れる程度」から始めてください。妊娠中の方は合谷の強い刺激は避けてください。

のどのつかえの裏にある本当の体質

「のどのつかえで来たけれど、最近のぼせと寝汗もひどくて」——梅核気のご相談で当薬局にいらっしゃる40代後半〜50代の女性の多くが、実は更年期症状の入り口に立っていることに気づかれます。

漢方の視点で見ると、梅核気の中核病態である肝鬱気滞は、更年期のホットフラッシュ・イライラ・不眠を生む肝陽上亢(かんようじょうこう)と地続きの体質です。「気の巡りが滞り、行き場を失った気が熱に変わって上に突き上げる」——同じメカニズムが、のどに出れば梅核気、頭と顔に出ればホットフラッシュ、心に出れば不安と焦燥感として現れます。

「のどのつかえだけ取りたい」とお越しになった方が、見立てを進めるうちに「気がついたら更年期の備えにもなっていた」となるのは、当薬局では珍しくありません。気の流れと熱の処理を整える方向で土台を底上げしておくと、これから来る更年期の波がずっと穏やかになります(個人差があります)。

代表処方は加味逍遙散・柴朴湯・女神散・滋陰降火湯などで、梅核気の処方とほぼ重なります。つまり、のどのつかえを整えることは、更年期の入り口を穏やかにすることと地続きなのです。

当薬局のアプローチ

銀座漢方天風堂の相談カウンター

当薬局でお渡しするのは、煎じ薬だけではありません。

まずは初回60分のカウンセリングで、あなたの体調・症状の出方・睡眠・食事・月経の状態・現在の市販薬や処方薬・耳鼻咽喉科や心療内科での検査結果までをじっくりうかがいます。お話の中から体質の軸を見立て、200種類を超える古典処方の中からあなたに合うものを選び、厳選した生薬を土鍋で丁寧に煎じてお渡しする——これが銀座漢方天風堂が長年磨いてきた強みです。

そのうえで、漢方だけに頼らず、呼吸の整え方・食事の温度・西洋薬との役割分担・日常で押せるツボまで、体質に合わせてお伝えします。「西洋薬をやめてください」とは言いません。主治医の処方を尊重しつつ、必要な量で済むように土台を底上げする方向のご提案がほとんどです。

症状が軽い場合や煎じる時間が取れない方には、手軽なエキス剤(粉薬・錠剤・顆粒)も状況に応じて併用します。

煎じ薬とエキス剤、向き・不向き

比較項目 エキス剤(粉薬・錠剤・顆粒) 煎じ薬
処方の選択肢 ラインナップの中から 200種類超の古典処方から見立てる
複合体質への対応 単一症状向き 肝鬱+痰湿+陰虚などの複合に対応
相談・見立て 基本なし 薬剤師が初回60分対面で
西洋薬との併用相談 限定的 現在の処方を踏まえた見立てが可能
向く方 単発の症状・軽症 繰り返し続く・西洋薬で取り切れない・複数体質が絡む慢性の不調

まとめ

のどに何かつかえている感じ、飲み込みづらさ、検査では何も異常が出ない違和感——梅核気は約1800年前の『金匱要略』に記された、決して珍しくない不調です。「気のせい」や「ストレス性」で片付けられがちですが、漢方の視点では気の巡りと水の巡りが胸からのどにかけて滞ったサインとして、明確に体質から見立てることができます。

同じ「のどのつかえ」でも、緊張で悪化するタイプ、痰がからむタイプ、のぼせを伴うタイプ、乾燥して声がれを伴うタイプ——4体質のどれが重なっているかで、選ぶ処方が変わります。半夏厚朴湯はその第一選択ですが、合わない方には柴朴湯・四逆散・加味逍遙散・麦門冬湯などの使い分けが必要です。

耳鼻科で「異常なし」と言われた方、心療内科の薬を減らしたい方、3か月以上のどの違和感が抜けない方は、4体質のどれが重なっているかを丁寧に見立てる時期にきています。

当薬局では、薬剤師歴45年以上の柳澤が初回60分じっくりお話をうかがい、現在の市販薬や処方薬も踏まえて、あなたに合う煎じ薬を見立ててご提案します(個人差があります)。

よくあるご質問

Q. 耳鼻科で異常なしと言われましたが、漢方で対応できますか?

はい、まさに漢方が得意とする領域です。梅核気(咽喉頭異常感症)は、内視鏡や血液検査で器質的な異常が見つからないのに、のどに何かつかえている感じ・違和感・飲み込みづらさが続く状態です。西洋医学では「異常なし」「ストレス性」と説明されることが多く、出口に困る方が当薬局にもよくお越しになります。漢方では肝鬱気滞や痰湿といった体質の傾きとして見立て、半夏厚朴湯を中心に煎じ薬で整える方向で対応します(個人差があります)。

Q. 心療内科で抗不安薬・SSRIを服用中ですが、半夏厚朴湯と併用しても大丈夫ですか?

多くの場合、併用可能です。半夏厚朴湯の医療用添付文書には併用禁忌・併用注意の記載はなく、心療内科領域でも抗不安薬・SSRI・睡眠導入剤と併用される実例が多数あります。実臨床では、薬を増やしたくない方や減薬を目指す方の補助としても使われています。ただし精神神経系のお薬を服用中の方は、現在の処方名・用量を必ずご相談時にお伝えください。漢方の役割は「西洋薬を置き換える」のではなく「体質の土台を整え、必要な薬の量で済むようにする」方向の支えです(個人差があります)。

Q. のどのつかえと一緒に、胸のつかえ・息が浅い・動悸も出ます。これも梅核気ですか?

はい、典型的な梅核気の出方です。原典の『金匱要略』に「咽中如有炙臠(のどに炙った肉がついたような感じ)」と記された病態で、現代では咽喉頭異常感症と呼ばれます。気の巡りが胸からのどにかけて滞ると、のどのつかえだけでなく、胸のつかえ・ため息・息が浅い・動悸・不安感がセットで現れます。半夏厚朴湯はまさにこの「胸からのどにかけての気の詰まり」を散らす方向で組み立てられた処方です。胸のつかえや動悸が強い方は、四逆散・柴胡疎肝湯・加味逍遙散などとの併用や使い分けも視野に見立てます。

Q. 妊娠中・授乳中ですが、半夏厚朴湯は飲めますか?

添付文書では妊婦に対しては「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」とされていますが、半夏厚朴湯は実際にはつわりの吐き気・授乳中の不安感への使用実績があり、妊娠中の比較的安全な漢方として位置づけられています。大規模なデータベース調査でも、先天異常・低出生体重児・早産のリスクを増加させなかったという報告があります。とはいえ自己判断での開始は避け、産婦人科の主治医にご相談のうえ、当薬局でも妊娠週数・処方内容をうかがってから見立てを行います。

免責事項

本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。記載の漢方薬は体質により適応が異なり、効果には個人差があります。のどの違和感が続く場合、まず耳鼻咽喉科で内視鏡(喉頭ファイバー)を受け、逆流性食道炎・甲状腺疾患・咽頭腫瘍・食道がんなど器質的疾患の除外を行ってください。飲み込めない・体重減少・血痰・声がれが3週間以上続く方は、すぐに耳鼻咽喉科または消化器内科をご受診ください。現在内科・耳鼻咽喉科・心療内科・消化器内科で治療中の方、PPI・H2ブロッカー・抗不安薬・SSRI・睡眠導入剤・利尿薬・降圧薬・ステロイド剤を服用中の方、妊娠中・授乳中の方は、ご相談時に必ずお伝えください。半夏厚朴湯は甘草を含まないため偽アルドステロン症のリスクは低い処方ですが、加味逍遙散・補中益気湯など甘草を含む漢方と併用する場合は1日の甘草総量に注意します(一般的に1日2.5gを超えると注意が必要)。妊娠中・授乳中の方は産婦人科の主治医と相談のうえご使用ください。ツボの強い刺激は妊娠中の方には推奨されません。

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※養生の感じ方や漢方の効果には個人差があります。妊娠中・授乳中の方、持病をお持ちの方、お薬を服用中の方は事前にお申し出ください。

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