「肌のハリや潤いが減った」「髪にコシがなくなった」「シミやシワが気になるようになった」…更年期を迎えると、こうした見た目の変化に戸惑う方も少なくありません。鏡を見るたびに「以前と違う」と感じることが増えていませんか?
本記事では、東洋医学の視点から更年期の美容変化の特徴と、体質に合わせた内側からのケア方法について解説します。自分でできる養生法から、専門家に相談するメリットまでご紹介します。
更年期の美容変化と東洋医学的な考え方
更年期に肌や髪に変化が起きるメカニズム
更年期の美容変化は、西洋医学では女性ホルモン(エストロゲン)の減少が肌のコラーゲン生成や皮脂分泌、毛髪の成長サイクルに影響を与えることで起こると考えられています。エストロゲンは肌の弾力やハリ、潤いを保つ重要な役割を担っているため、その減少は見た目にも影響します。
一方、東洋医学では「気・血・水」のバランスという観点から美容を捉えます。特に「血」と「津液(しんえき)」という体内の潤いを表す概念が重要とされます。また、「腎(じん)」の働きも髪の艶やハリに関わると考えられています。
東洋医学では「美は内側から」という考え方があり、見た目の変化は内側の状態を映し出していると捉えます。そのため、表面的なケアだけでなく、体内のバランスを整えることを重視します。
体質と美容変化の関連性
東洋医学では、美容変化の特徴も体質によって違いがあると考えます。以下に代表的な体質傾向と美容変化の特徴をご紹介します。(あくまで一般的な傾向であり、個人差があります)
血虚(けっきょ)傾向の方の美容変化
- 肌が乾燥しやすく、くすみやすい
- 爪が割れやすく、髪にハリがない
- 唇の色が薄く、肌の血色が悪い
- 肌の回復力が弱く、傷が治りにくい
陰虚(いんきょ)傾向の方の美容変化
- 肌がカサカサして内側から乾燥している感じ
- ほてりを感じやすく、頬が赤くなることも
- 髪が乾燥しパサつきやすい
- のどや目の乾燥感を伴うことも
腎虚(じんきょ)傾向の方の美容変化
- 髪の老化(白髪、抜け毛など)が進みやすい
- 顔色が暗く、くすみやすい
- 歯や骨の弱さを感じることも
- 疲れが顔に出やすい
気滞(きたい)傾向の方の美容変化
- ストレスで肌荒れしやすい
- 顔の一部(特にアゴ周り)にニキビができやすい
- むくみやすく、顔の輪郭がぼやけやすい
- 表情筋の緊張からシワができやすい
これらの体質傾向は混在することもあり、また生活習慣や季節によっても変化します。体質の傾向を知ることで、より自分に合った対応が見えてくることがあります。
体質別の美を育む養生法
美容変化の特徴や体質によって、日常生活での工夫の仕方も変わってきます。自分の体質傾向に合わせた養生法の考え方をご紹介します。
血虚(けっきょ)傾向の方の養生法
肌が乾燥しやすく、くすみやすい方は、血を補うアプローチが基本となります。
食生活での工夫
- 血を作る食材を意識する(レバー、ほうれん草、黒豆など)
- 鉄分やビタミンB群を含む食材を積極的に取り入れる
- 良質なタンパク質を適量摂る
- 過度な辛さや刺激の強い食材は控えめに
生活習慣での工夫
- 質の良い睡眠を心がける(特に午後11時〜午前3時)
- 過度な乾燥から肌を守る(保湿ケア、加湿器など)
- 適度な運動で血行を促進する
- ストレスを溜めないよう心がける
血虚傾向の方は特に「血を養う睡眠」がポイントになります。東洋医学では「血は夜に肝に蔵される」と考えられており、質の良い睡眠が血を養い、肌や髪の潤いにつながると考えられています。
陰虚(いんきょ)傾向の方の養生法
肌が内側から乾燥している方は、陰を養うアプローチが基本となります。
食生活での工夫
- 潤いのある食材を意識する(白きくらげ、山芋、豆腐、バナナなど)
- 冷たすぎる飲食物や熱すぎる飲食物は控える
- 良質な油分を適度に摂る(亜麻仁油、オリーブオイルなど)
- 辛い物や刺激物を控えめにする
生活習慣での工夫
- 乾燥から肌や髪を守る対策を徹底する
- 過度な運動や発汗を避ける
- ストレスや過労を避け、適度にリラックスする時間を持つ
- 入浴はぬるめのお湯にゆっくりつかる
陰虚傾向の方は特に「体内の潤いを守る」ことがポイントになります。過度に体力を消耗する活動を控え、体の中の潤いを保つことが大切です。
腎虚(じんきょ)傾向の方の養生法
髪の老化が進みやすい方は、腎を補うアプローチが基本となります。
食生活での工夫
- 腎を補う食材を意識する(黒ごま、クルミ、黒豆、黒きくらげなど)
- 良質なタンパク質を適量摂る(魚介類が特におすすめ)
- 温かい食事を心がける
- 食事はゆっくりよく噛んで食べる
生活習慣での工夫
- 早寝早起きのリズムを整える
- 適度な運動を継続する(特に太極拳や気功など穏やかな運動)
- 足元や腰を冷やさないよう注意する
- 過労や過度なストレスを避ける
腎虚傾向の方は特に「エネルギーの温存」がポイントになります。腎は東洋医学で「先天の精」を蓄える場所と考えられており、過度に消耗すると髪や肌、歯などに影響が出やすいとされています。
気滞(きたい)傾向の方の養生法
ストレスで肌荒れしやすい方は、気の巡りを改善するアプローチが基本となります。
食生活での工夫
- 香りのある食材を適度に取り入れる(柑橘類、しそ、ハーブなど)
- 軽めの酸味のある食材を意識する(梅、酢、柑橘類など)
- 食事はリラックスした環境でゆっくりと
- 過食や偏食を避け、バランスよく食べる
生活習慣での工夫
- ストレッチや軽い有酸素運動を取り入れる
- 深呼吸や腹式呼吸を意識的に行う
- 趣味や創作活動など、自分を表現できる時間を持つ
- 笑う機会を意識的に増やす
気滞傾向の方は特に「気持ちの解放」がポイントになります。ストレスや緊張が溜まると気の流れが滞り、それが肌や表情に現れやすいため、心を開放する時間を意識的に作ることが大切です。
漢方的アプローチの特徴
内側からの美しさを育む考え方
漢方の大きな特徴は「内側からのアプローチ」を大切にすることです。東洋医学では、美しさは体内のバランスから生まれると考え、表面的なケアだけでなく、内側からの調整を重視します。
同じ「肌の乾燥」でも、血虚による乾燥と陰虚による乾燥では対応が異なります。漢方相談では、詳しい問診や舌診、脈診などから一人ひとりの体質を判断し、体質に合った対応を考えていきます。
「養」と「巡り」のバランスを整える考え方
漢方的アプローチのもう一つの特徴は、「養う」ことと「巡らせる」ことのバランスを大切にすることです。体に必要な気や血、津液を養うだけでなく、それらが体内でスムーズに巡ることも重要と考えます。
美容を高めるアプローチでは、以下のような視点で総合的に考えていきます:
- 食べ物の質と食べ方
- 適度な活動と十分な休息
- 感情の表現とストレス管理
- 季節に合わせた養生法
- 体を温めることと冷やすことのバランス
漢方は即効性よりも、体のバランスを整え、自然治癒力を高めていくことを大切にします。そのため、生活習慣との組み合わせが特に重要と考えられています。
専門家に相談するメリット
銀座天風堂の漢方相談の特徴
天風堂薬局の漢方相談では、東洋医学の考え方に基づいた丁寧な問診と、舌診・脈診などを通じて、一人ひとりの体質や状態を総合的に判断していきます。
当薬局の特徴は以下の点にあります:
- 内側からの美容アプローチに特化したアドバイス
- 西洋医学の知見も取り入れた総合的な視点
- 一人ひとりの体質や生活リズムに合わせた細やかな対応
- 季節や環境の変化に合わせた継続的なサポート
特に更年期の美容変化は、ホルモンバランスの変化だけでなく、これまでの生活習慣や体質の影響も大きいため、多角的な視点でのアドバイスを心がけています。
初回相談の流れ
天風堂薬局での初回漢方相談は、以下のような流れで進みます。
相談前の準備(あれば役立つもの)
- 美容の変化について気になる点のメモ(いつ頃から、どのような特徴かなど)
- これまで試してきたケア方法とその効果
- 服用中のお薬やサプリメントがあれば、その情報
相談当日の流れ
- 問診表へのご記入(約5分)
- 漢方薬剤師による詳しい問診(約20分)
- 肌や髪の状態や変化について
- 生活習慣や食事の傾向について
- その他の体調や過去の健康状態について など
- 舌診・脈診(約5分)
- 東洋医学的な体質の説明と養生法のアドバイス(約15分)
- 質問やご相談(約10分)
初回相談の所要時間は約50分〜60分です。あなたの体質や状態をしっかり把握するために、十分な時間をかけて対応させていただきます。
まとめと次のステップ
更年期の美容変化は、東洋医学では「気・血・水」のバランスの乱れ、特に「血」や「津液」の状態変化と関連が深いと考えられています。体質によって美容変化の現れ方や対応が異なることが特徴です。
本記事でご紹介したポイント
- 美容変化には「血虚」「陰虚」「腎虚」「気滞」などの体質傾向があり、それぞれ特徴が異なる
- 体質傾向に合わせた養生法の基本的な考え方があり、食事や生活習慣での工夫が大切
- 漢方的アプローチでは内側からのケアを重視し、表面だけでなく体全体のバランスを整える
- 専門家への相談では、詳しい問診と舌診・脈診から個人に合ったアドバイスが受けられる
更年期の美容変化は、体質改善と適切な養生法で内側から整えていくことができます。ご自身のペースで、体質に合った対応を見つけていくことが大切です。
今回ご紹介した養生法の基本的な考え方を日常生活に取り入れながら、より詳しいアドバイスが必要な場合は、ぜひ専門家にご相談ください。天風堂薬局では、あなたの体質と状態に合わせた東洋医学的なアプローチをご案内しています。
※本記事は東洋医学における考え方をご紹介するものであり、効果効能を保証するものではありません。皮膚疾患など症状がある場合は、医療機関への受診もご検討ください。